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短編小説

ハア…。聖嫁様、俺をわざとらしく庇わないで下さい。というか、お前自覚あるだろ。風よけや自分の引き立て役として俺を利用してるだけだろ。

じゃなかったら、お前に夢中になっている美形の前でわざとらしく抱き着いてくんな。俺に甘えんな。それや、ベストタイミングで俺を暗殺者や敵勢力がいる場所に放置するな。

強姦された俺を見て盛大に泣いてくれたけど、お前がした事だからね?とゆーか、お前に夢中になっていない騎士団長に慰められる俺を睨んでたよね?

フーン清らかな聖嫁様は、そんな事をするんですね?その後、高らかに俺をスパイとして糾弾してくれて涙が出るよ。

何?強姦されたんじゃなくて、敵対勢力に取り入る為にわざと赴いた?おーおーキラキラお目目に涙を浮かべて綺麗な泣き顔。

ハハハハ、ちげーよ。

馬鹿王子の兵士に捕まる俺。

騎士団長や騎士さん達はなんとかしてようとしたけど、騎士団長達は平民出で聖嫁様の信者に対抗できない。

小さな頃からアイツに振り回されて嫉妬の矢面に立たされた俺にとって、騎士団の人達は初めて優しくしてくれた人達だ。

そんな彼等が俺のせいで傷付けられる所を見たくない。しかも、騎士達は容姿端麗でアイツ好みばかり。巻き込むと、彼等がアイツに気に入られて被害を受けてしまうだろう。

騎士団長は既に仕事をしない将軍のせいで、やつれているし。

俺は彼等の協力を断った。

そして今、俺は鎖に繋がれて聖堂に引き立てられている。聖堂は聖嫁が天使を待つ神聖な場所で、一部の神官と聖嫁しか入れない筈だが、奴の取り巻きや兵士がいる。

奴が言うには、「皆大切な友達なんだから、仲間外れなんて駄目だ!」だそうだ。その一方で、奴の言うことを聞かない神官を締め出している。

そして奴は、聖嫁と天使が愛を交わす筈の神聖な場所で俺を殺そうとしている。

そう、今日は俺の死刑執行日だ。

証拠なんて一切ない、裁判さえされなかった俺は殺される。アイツに操られた王子達の独断だ。

本当は国王様は反対していたのだが、数日前から寝込んでいる。アイツが言うには狂ってしまったらしい。

俺はアイツが何かしたと思っている。何故なら俺の胸が痛むからだ。

昔から胸が痛むときは、アイツの邪魔な奴が亡くなったり、昨日までアイツを嫌っていた奴が翌日にはアイツを盲信していたりしていた。

側近達も最初は俺に同情的で立派な人もいたのに、胸が痛くなった翌日に他の奴らと同じようにアイツの信者になって俺に暴力を振るった。

そして今、信者達は傷だらけでボロを着ている俺を見て、眉をひそめる。

「淫乱。」

聞こえたぞゴラ!誰が淫乱だ!

信者達は、俺を見て軽蔑したように顔をしかめる。奴らが視線を這わすボロから覗く肌には、赤い鬱血跡や噛み傷が。髪には白濁がこびり付いている。

あー痛い。思い出すと辛くなってきた。

あっアイツと目が合った。白々しく泣くな腹立つ。

牢番の奴らが言っていたぞ。聖嫁様が「慰めてやってくれないか?アイツ人肌がないと寂しくて泣いちゃうんだ!」と言っていたって。

阿呆か。死刑になる囚人が牢で慰められるって、どんな意味か分かるだろう。純粋ぶって知らないとは言わせない。

聖嫁様の命を受けた善良な牢番達は、それは丁寧に丁寧に【慰めて】下さったよ。

牢番の野郎達、容赦なく犯りやがって。殴りながらじゃないとイケないって、どんな変態だよ。

豪華な椅子の上に座るアイツの眼下に膝をつかされる俺。アイツの周りには、輝く美貌の信者達。

アイツは椅子から立ち上がり、泣きながら俺を指差した。

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