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短編小説
終わり
あるところに豊かな国土を誇る王国がありました。騎士王と呼ばれた初代国王は、暴政を民に押し付ける当時の主君を倒し国を立ち上げたのでした。

彼には【純白の百合姫】と呼ばれる愛おしい娘と【黒神】とよばれる息子がおりました。

黒神は騎士王が荒れ果てた国土を救う方法を探す為にでた旅で出会った神様です。彼は神様でありながら騎士王の養子となり、この国に豊饒をもたらしました。
しかし、狂った王は彼の二人の子供を亡き者にしようとし、襲い掛かりました。百合姫を助けた黒神は王に囚われてしまいました。

騎士王が反旗を翻し、王の首を討ち取った時には既に遅く、神の身である黒神でも死ぬ間際でした。騎士王と百合姫は彼を癒すために元の場所に戻し、待つことを誓いました。

それから数十年。
騎士王が死んだ今もまだ黒神は戻りません。
しかし、まだ往年の百合姫は王城で黒神を待っています。

優しい弟を
国を救った弟を
もう一度あの黒髪を触ることを夢見て

今も待っています

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