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短編小説
裏1
「何をしている愚か者。泣くな」
「私はもう耐えられない!私は、こんな事をする為に志願したんじゃない!何故……何故、あの方が謝るんですか!謝る必要なんてないのに!」
「お優しい方だからだ」
「ですが!」
「お前は愚かだな」
「なっ」
「ならば、問おう。あの方の為に涙を流すのなら、何故、今まで苦しむ様子を見て何もしなかった?」
「それは……」
「命令だからだろ?」
「……」
「それで良い。【命令以上でもなく、命令以下でもない。命令自体であれ】それがお前だ我々だ。誉められるべき事だ。だが、その生き方を選び、その生き方を遂行したのは我々だ。しょせんその程度だ。そんな我等は、非難する事も否定することもできん。何も行動しなかった身で、お前はむやみやたらに聖者様の御心を乱すのか?申し訳ないと思うならば、全身全霊をかけて任務を遂行しろ。分かるな?」
「は……い」
「では、報告しろ」
「神罰は……順調に、順調に進行して……ます。神罰は体を犯し、手当てもされていないので衰弱が激しいです。もう既に、熱や痛みなどの生きる為の体の防衛反応すらない。正常じゃないのに、正常のような状態。死の直前の小康状態です。このまま衰弱して 息絶えるか、神罰が完成して煉獄に堕ちるか。どちらとも、時間は掛からないと思われます」
「神罰が完成するならば、どれくらいだ?」
「小程度ならば二十回、中程度ならば十数回、大程度ならば数回、死者蘇生ならば一回です」
「そうか……それだけ、たったそれだけで、あの方は楽になれるんだな」
「……」
「我等が出来ることは、彼等が望む終わりを演出する程度だ……。そして、今の状況は、最善だ。神官長様も聖者様も望んでいるシナリオだ。それがどんなに糞ったれな物でも、本人が幸せというならば祝福しよう」

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