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短編小説
2
「テメーとうとう本性を出しやがったか…。」
「殿下を誘拐するとは。」

ワーコワーイ

騎士団の方々が殺気を放ちながら私に剣を突き付けてきます。マジと書いて本気です。

チラリと執事殿をみると、焦った様子です。

「なっ何をしておいでですか!」
「お下がり下さい執事殿。こやつは殿下を連れ去り、尚且つ寝屋に連れ込んだのです。この場で首を跳ねられても文句は言えまい。」

麗しい金髪の副団長殿が私の首に剣を突き付けてきます。オヤオヤ、そんなに怒ると、天女も負ける繊細な美しいお顔が台なしですぞ?

それを親切に伝えてやったら、尚更怒る怒る副団長殿。この方は女顔を気にしていらっしゃいますからね〜。

騎士達に罵声を浴びせられながらも笑っていたら、殿下が顔を真っ赤にして騎士達を蹴り始めた。

「でっ殿下!?」
「…!…!!(怒)」

おーやれやれ。
思いっきり蹴ったれ。

騎士殿や副団長殿を始めとした騎士達がポカポカと殿下に蹴られてショックを受けている。

愉快愉快

「魔法使い殿は悪くございません!毎朝殿下が魔法使い殿の元に忍び込まれるのです!」
「何!?」
「ほっ本当ですか殿下!?」
「…(照)。」

執事殿の言葉で理解して頂いて嬉しいですが、…何故そこで照れるのですか殿下?

「はいはい、分かって頂いた所でコレ除けてくれないですかね?」

指先で刃先を摘んで除けると、騎士達は渋々剣を下げた。


「あぁ、頭が痛い…。私は寝起きなのですよ?支度をしたいので、さっさと帰って頂けますかな?」

フワァと欠伸をしながら室内へ戻ろうとしたら、騎士殿に肩を掴まれました。

「調子に乗ってんじゃねーぞ魔法使い。いつか化けの皮を剥がしてやる。」
「おやおや、寝起きの人間に随分な事をおっしゃるのですな?」
「魔法使い様は良いご身分だな。いつまでも惰眠貪りやがって。」
「私は知的労働者なのです。肉体労働者である早寝早起きが信条の貴方達と同じにしないで下さいかねぇ。」

顔を着かんばかりに近付けて睨みつけてくる騎士殿。小声で囁かれた言葉に憎まれ口で応えれば、騎士殿の顔に青筋が浮き出ます。

暫く騎士殿と至近距離で睨み合っていると、殿下が急に騎士殿と私の間に割り込ん出来ました。

「…(怒)!」
「おやおや?殿下何を…。」
「でっ殿下!?」

ムキーと怒りながら私に抱き着いた殿下はゲシゲシと騎士殿を蹴り始めました。殿下に蹴られたショックでヨロヨロと後ずさった騎士殿に副団長殿がポンと肩に手を置いた。

「…お前ら近すぎだ。」
「何がですか!?」

神妙な顔で呆れた顔で呟いた副団長に困惑する騎士殿。

おや?何ですか殿下?
殿下に呼ばれて小さなその体を抱き上げると、ゴシゲシとハンカチで顔を拭かれました。

「??殿下…?」
「…!」

何か必死じゃありませんか?涙目の殿下を不思議に思って見つめていると、後ろで副団長殿が殿下に声をかけた。

「大丈夫ですよ殿下。コイツと魔法使い殿は接吻などしていません。」
「「ハァ!?」」
「…(安堵)!」

涙を引っ込めた殿下に力いっぱい抱き着かれて、困惑の限りです。

それより、一体誰と誰が接吻したのですか…?

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あきゅろす。
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