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短編小説

相変わらず、にやけた皮肉な笑顔を浮かべて騎士殿に野次を飛ばす。すると団長と組み合いながらも怒り、隙をつかれた騎士殿が投げ飛ばされた。

「魔法使い!てめぇ!」
「ハハハハ愉快愉快」

何時も通りの会話。怒り狂う騎士殿を見て笑っても楽しくないのは何故でしょうかね?

馬鹿にした笑いの裏で念話は続きます。

【カアー】(本当そっくり。そっくり過ぎて殺したいわ)
【彼等はアイツらと無関係ですよ】
【カアカカア】(知らない。騎士なんて大嫌いだわ。忠誠や役目を言い訳にして蛮行を奮う存在。騎士であるだけで殺す理由は十分)
【マジョリカ……】
【カーカァー】(私の女の子達も殺された。憎い憎い騎士。嗚呼……此処にいる騎士を全員殺せれたら。あの子達がやられたみたいに、ジックリと私の火炎魔法で焼き殺せたら)
【泣くなマジョリカ】
【カァカァ】(泣いていないわよ。ただ悔しいの。長達に魔法を封じられた時から悔しいの。貴方もそうでしょ?あの日、奴らの国を焦土にしようとした時にも貴方は叫んでいたじゃない。なんでそこの騎士達を殺さないの?貴方なら魔法が使えなくてもできるでしょ?)
【何度言ったら分かるんだマジョリカ。あれは間違っていたんだ。アイツらとは無関係な者を殺すのは間違っている。彼等を殺さないのも同じ理由だ】
【カア】(信じらんないくらい模範的な答え。アソコにいる騎士なんてそっくりじゃない)

烏が睨むのは鼻血を出して倒れる騎士殿。

おやおや?先程渡したスポーツドリンクの中に入っていた精力増強剤が厭な感じに効いたみたいですね?あの馬鹿は簡単に引っ掛かってくれて楽しいですね。

【カプ!】(ブプ!)

情けない顔を見た烏が珍妙な鳴き声を漏らして笑った。

【たしかに、私もアイツと重ねた。だから、私は何度か確認をしてみたんだ。アイツと同じ人種かどうか。私の悪戯を受けても彼は、なんだかんだ言って許すんだ。私を間違っていると拒絶したりしない。彼は怒っても他人は拒絶なんてしない人物だ。私達の存在自体を否定したアイツらとは違う】
【……】
【彼は…ギュンター殿は優しい方だよ】
【カアー】(ふーん。悪戯にそんな理由があったんだ。私はてっきり、あの騎士が気に食わないせいかと思った)
【いや、それもある。純粋にあの騎士は腹が立つし苛立たしい】
【カア】(クスクス。まあ良いわ貴方に報告があるの。冒険者の彼が良いクエストを見つけたって。そこである物が手に入ったら、私達に魔法が戻るかも)
【ほう】
【カアカア】(だから、貴方が彼からアイテムを受け取ってよ。私達の中で自由に外を出歩けるのは貴方だけだもん。長ったら貴方は立ち直ったと思っているからね)
【ク……クククク。分かった】

立ち去る烏。

それを不審げに見上げていた騎士の頭の上に、糞爆弾が発射された。

「ぬお!?」

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あきゅろす。
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