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短編小説

久しぶりに一人です。いやー気分が良い!纏わり付く小さいのがいないと、すこぶる歩きやすい!

先程殿下と話したら、殿下は何かを考えて立ち去りました。

不思議に思いましたが、まあ良い。さっきの事は何もなかった。忘れよう。そもそも先程の私はおかしかったんですよ。馬鹿餓鬼にあんな事を言うなんて。

最後に殿下に尋ねた内容を思い出し、深いため息を吐く。何故言ってしまったんですかね?あんな馬鹿な事を。まさか、殿下の馬鹿菌が移りましたか?


まあ良い。久しぶりの一人を満喫して薬草狩りでもいたしましょうか!

ルンタルンタと城の庭(ほぼ森)を歩いていると、後ろから高貴で下品な声に呼び止められた。

「何してやがる」
「キャー助けてーストーカー!」

睨みつけているのは騎士だ。棒読みで怯えると、騎士様の額に見事な青筋がピシピシ浮かぶ。

おぉ〜見事な青筋ですね。

そのまま立ち去ろうとしたら、騎士殿は私の手首を掴んで、自分の方を向かせた。くっそ!痛ーじゃねーか!

「こっちを向け!よくも殿下を唆しやがって!剣術を学ばないなんて許される訳がないだろ」
「いいじゃないですか…。殿下は賢い方だ、あの歳で愚かな憧れに惑わされずに剣の恐ろしさを知っている」
「殿下は陛下のご子息だ!武術を学ばないなどあり得ない」
「別に、剣がなくとも国は治める事はできます」

その言葉に嘲るような表情を浮かべる偉い騎士様。

「剣が怖いのか?偉い魔法使いのわりには臆病者だな」

その言葉に苛々する。嗚呼……憎たらしい。人を殺す為の道具を持っているくせに、私を臆病者だと謗るのか?一応は認めているが、それは一部だけ。

騎士という存在への嫌悪感は無くならない。だから、言ってしまったのは仕方がない。この、若く愚直に自信に溢れた顔が歪むのを見たかった。

「そうだったらどうします?」
「へ?おい!?」

私は懐から小剣を取り出すと、鞘を抜いて自らの指先を傷付ける。

どす黒い柄に付いた僅か十センチ程度の小さな刃は、錆びていても易々と私の指先の皮膚を切り裂き血が滴る。 私は指を伝い流れる血潮を、静かな瞳で見つめていた。

「刃は何も産まない。ただ何かを断つだけ。努力や苦労、はたまた命や子供の心臓を、こんな風に断つだけ。違いますか?剣など騎士など忌むべき者。だから、私は貴方が嫌いです」

私は傷口を見せながら騎士殿に語りかけた。私を険しい顔で見つめる騎士殿。ククク・・・・・・馬鹿にされた彼はは私を怒りますか「お前馬鹿か!?」はい?

顔を真っ赤にした騎士殿は、私の手を掴み剣をむしりとって見つめた。待て待て、私の剣に何をする!と文句を言おうとしたが、騎士殿の顔がぶっちゃけ怖い。

いや、なんでそんなに怒ってんだお前?

「こんな錆剣で手を傷付けるなんて馬鹿だろお前!」
「いやあの・・・・・・」
「しかも血が止まらねぇぇぇ!ヤバイ早く此方へ来い!」
「何をする!」

話を聞けぇぇぇ!何をテメーは私をかってに担ぎ上げてやがる!しかもお姫様抱っこだとゴラァ!

「うお!?軽っ!異様に軽いぞ魔法使い!」
「余計なお世話でございますなぁ!」
「なんだこの細い腰!本当に男か?」
「テメー覚えてろよ」

ウゼェェェ!筋肉がつきにくく痩せ型なのは体質じゃボケナス! 仕方ねーだろ!

て・・・・・ ・、何処に行くつもりだ!?へ?寄宿舎?嫌だ!止めろぉぉぉぉ!

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あきゅろす。
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