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短編小説
悪夢
彼は深く眠る。

眠りのみが彼の救い。過酷な監禁生活の中、唯一自由になる世界であったからだ。

だがしかし、最近それに変化が訪れた。

夢の中に皆が出るのだ。

死んだ友人達と弟。彼等は無表情に彼を見つめ、悪夢を見せる。

彼が一番見たくない物を。

夢の中で彼は泣き叫ぶ。止めてくれ止めてと叫んでも、指を差して酷い悪夢を見せるのだ。

それは彼の心を確実に弱らせる。

何故?夢の中で尋ねても、彼を苦しめる友人達は何も語らない。

目を覚ませば化け物に体を傷付けられ
唯一の救いであった夢の中では友人達に心を傷付けられる

消耗する心は感じる事や思考を鈍らせ、生きているのか死んでいるのか全てが曖昧になる。

化け物との悍ましい交わりでの痛みにも呻かず、殴られても反応する気力もない。

最近の彼にとって、夢の中の光景は化け物の暴力よりも恐怖だった。だが、衰弱した体は意思に関係なく休息を必要する。

猛烈な睡魔に抵抗しても、いつの間にか彼は眠りの世界に居た。


止めて…止めてくれ。気付きたくなかった事実を突き付けられる。

それでもかっての友人達は彼に【実際におこった悪夢】を見せるのだ。まるで、それが彼の義務だと突き付けるように。


さあ、今夜も始まる。

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