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短編小説
島の地下室
今日も私は怪物に犯される。

死んだ私は怪物の手によって怪物の同類として復活させられた。新鮮な死体だった私は殆ど部品を取り替えることなく、体は以前と変わらない。

記憶も生前の物を引き継いでいた。

ただ一つ違うのは、生前は博士と呼ばれていた私は、今は怪物の玩具になった事だ…。

あれから私の両手は拘束されたままウエディングドレスを着せられて、このベッドに転がされている。

「これは花嫁に着てもらう為に作ったドレスなんだ。色んな所から白い布を盗んで、いずれ来る花嫁に心躍らせたよ。アンタのせいで無駄になったがな!」

バシィン

「ンビィ!」

尻を凄まじい力で叩かれ、悲鳴を上げると嘲笑われた。怪物は笑いながら罵ると、楽しそうに私の尻をバシバシ叩くと、悲鳴を上げなくなった頃にズルリと塊を抜いた。

長時間の責め苦に、涙も枯れ果てている。

このように私は怪物に気が向いた時に犯される。窓も何もない此処では、朝なのか夜なのかすらも分からないが、凶行は日を置かずにほぼ毎日行われていると思う。

「っ……」

私は責め苦を終え、全身の力を抜いて放心していた。深い痛みや凌辱は、体から力や体力を奪い、私は指一本動かせない。

しかし、怪物は体を動かせれない私にも拘束具を設置していく。無骨な金属製の枷は重く、力無い私の体をシーツの中に沈める。

作業を終えた怪物は無言でベッドから降りると部屋から出て行った。

ゴゴゴゴと重たい音を響かせて下がる扉の向こうに、奴の大きな背中が消えて行く。

私は痛む体を動かして、天井を見た。

ランプが煌々と光る。

あれから私は、この怪物の巣に運ばれ、それ以来一度も外に出ていない。

この部屋に入れられた私は、ずっとベッドの上に寝転んで過ごしている。四肢は金属製の枷に捕われ、繋がる鎖はベッドの柱に繋がっている。

何度も逃げようとした、しかし怪物は異常なくらい慎重だった。

この部屋は溶接された鉄に覆われている。奴が言っていたが、三枚の鉄板が使われているらしい。私が何か武器を作ったり、隠さないように家具は全くない。

窓もなく唯一の出入口は三重になっており、それは特定の数字をパネルに打ち込むと自動的にスライドして開くようになっている。

鍵を壊しても無理だ。電気で動く扉は動かない。

後、逃げ出せそうなのは換気用ダクトなのだが、あれは何か装置を置いているらしく、入ったら警報が鳴るようになっていた。

フフフ…随分と賢い。何だこの規格外の発明品と材料は。いったい何処から資金や材料を手に入れているのだ?

どうやら奴の友人とやらが協力的らしい。

友人がいることに驚いたが、こんな状況に協力的な事に絶望的な気分になる。

嗚呼…コイツには仲間がいるのか。

訳が分からなすぎて悲しくなる。

そして、とうとう私は脱走を諦めた。

それから何度も何度も犯された。体は慣れて、最初の時のような猛烈な痛みはなくなった。相変わらず切れて無残な事になるが、怪物の仲間になった私はすぐに回復してしまう。

毎回痛みに苦しみ嗚咽をもらしながらも、すぐに回復して傷口を化膿して死ぬ事もない。


ああ…、足音がする。


再び開いた扉の向こうには、何かを持った怪物が居た。ベッドの脇で準備する奴から必死に逃げようと蠢くが、枷に付いた鎖を掴まれて引き寄せられた。

押さえ付けられる私の目に映ったのは、注射器だ。

そう、奴は枷を着けた上に薬を打つのだ。

深い眠りを誘う薬を…。

これを打たれると動けれなくなり眠ってしまう。起きても僅かな時間が経てば、再び眠りにつく。

私が起きるのは、怪物に凌辱される時が殆どだ。

首筋にチクりと痛みを感じる。

冷たい液体が流し込まれる感覚にも慣れた。

強烈な眠気が私を襲う。怪物は私が眠るのを息を飲んで見守っている。

そして、眠るのを確認すると、奴は私の体を清めてから部屋を出て行くのだ。

この間、一度も怪物は喋らない。

凌辱の間はあれほど酷く罵るのに、何故かそれが終わると途端に無口になるのだ。終えた後は私に話し掛ける価値すらないのか…。

ああ…、眠い。
唯一の救いの元へ行こう。

私は一息吐くと、意識を手放した。

誰かが何かを言った気がしたが、私には何も聞こえなかった。



夢の世界で見る青空の、なんと美しいことか

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あきゅろす。
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