裏小説
三
左足は右足への愛撫で敏感になっていたのか、舌が翻る度に感覚が突き抜けて悲鳴が上がる。
「あひゃっ!」
しかも、先程まで舐められていた為にドロドロになった右足の指の股に、ギュンターは自分の指を五本全部突っ込んでクチュクチュと前後に動かしていた。 ヤガーが振り払おうとしても離れない。逆にお仕置きするように噛まれた。
ギュンターが満足して舌を離す頃になると、ヤガーはぐったりと脱力していた。
「ヤガーどうだった?」
「うる…さ…。」
震えるヤガーの額に口づけを落としてフードを取ると、涙目の素顔が出て来た。グスンとヤガーが鼻を啜って涙が流れ、ギュンターはビビる。
「この…馬鹿…!汚いだろ…。」
「す…すまん。」
「誰が許すか馬鹿!」
ヤガーは顔を近づけたギュンターの肩を力無く叩いた。だが、ヤガーには見逃せない所があった。
「ヤガーそれ…。」
フードが取られ乱れたローブの奥から、ヤガーの首を飾る瑪瑙の首飾りが見えた。それはクリスマスに彼が贈った物だった。
ハッとしたヤガーはローブを掻き集めてソレを隠した。横を向いた顔が赤い。
「これは…。」
再び悪態をつこうとしたヤガーの口は、ギュンターの指で塞がれた。ギュンターは目を輝かせて、蕩けんばかりの笑顔だ。
「ヤベーヤベー。今日は一体どんだけサービスが良いんだよ。」
「う…。」
ギュンターはヤガーを抱き寄せる。大きな体がヤガーを包む。あまりにも嬉しそうなので皮肉を言おうとしたヤガーの口が閉じた。
笑顔のギュンターはヤガーを後ろ向きに膝の上に乗せて、満足そうにその首飾りを手で遊んでいた。
「やっぱりヤガーに良く似合ってるな。」
「…ふん。」
ローブをずり下げてヤガーの細い首を剥き出しにしたギュンターは首筋にキスを落とし、彼の下半身に手を這わした。
「あれ、ヤガー勃ってないか?」
「…!」
ローブを開けられ、そっとソコを握られたヤガーはキュッと口を結んでギュンターの服を掴んだ。抵抗する気はないらしい。
今日は風呂上がりなので、ヤガーはいつもと違い、ギュンターと同じような麻のシャツと緩いズボンを履いていた。寝苦しくないように薄い素材のズボンはギュンターの熱い手の感触を殺さない。
「熱っ…。」
「はっ…。」
握るそれの熱さに舌なめずりしながら呟かれた言葉に、ヤガーは上擦った吐息を僅かに漏らした。
「んっ!?」
「ん〜?どうした、痛かった?」
手の平でスリスリと擦られて、布ごと掴まれて扱かれると腰が思わず揺れてしまった。掴んでいたギュンターの指が離れて、宥めるように再び撫でられた。
ギュンターはフルフルと首を振って否定する。
「そうか…。なぁヤガー、直接触っても良いか?」
「あ…ギュン…。」
まるで悪魔のような囁きがヤガーの耳に吹き込まれる。優しい悪魔はヤガーが頷かない限りは何も手を出して来ないだろう。
何時ものヤガーならギュンターを蹴飛ばし一人で処理する。しかし先程から優しいギュンターに本人は認めないだろうが、ときめいていた。
自分が首飾りをしただけであんなに喜ぶなんてとか、ギュンターの逞しく鍛えられた体とか、自分を受け止める広い胸板や太い腕。
低く甘い声なんて始めて聞いた。
こんなに腰にクル物だなんて…。
ヤガーは今日位素直になるのも良いかと決心した。そして後ろを振り向くと、ペロリとギュンターの唇を舐めた。
驚くギュンターの目の前で、ヤガーの首にある赤と白の瑪瑙がキラリと光った。
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