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裏小説
激流一
「ん…。時平さん…。」

時平は昴の髪を優しく梳きながら、その額や頬に何度も啄むような優しい口づけを落としていた。

それを受けながら、ポワ〜ンと幸せな気持ちが昴の胸を満たす。幼い頃より唯一許された恋人らしいその行為は、昔から昴を穏やかな優しい気持ちを与えてくれた。

唇にもそう…何度かの啄むような口づけのみで、昴はそれだけで十分な高鳴りを覚えていた。

時平も、それ以上深くに入ってくる事は決してなかった…。

今までは…。

「昴…、口を開けよ…。」「はっはい…?」

何度も口づけを落とされた後、何時もなら最後にはそのまま唇に口づけをされるのだが、今回は指示が言い渡された。

不安に思ったが、鋭い瞳に視線を絡み取られ、時平の顔を眺めながら恐る恐る口を開けた。チラリと舌が覗く。

「あく…。」

小さな声が昴から漏れてそのまま飲み込まれた。

カフリと時平がその唇に噛み付くように口づけたからだ。ヌリュリと侵入した舌は昴の歯列を辿り上顎をくすぐった。ビクンッと体を震わす昴だったが、わななく手を必死に動かし時平の水干を握りしめる。

奥に縮こまった昴の舌を搦め捕った時平は、それを擦り合わせ、優しく噛んだ。 粘着質な水音が二人の間から漏れる。

産まれて始めての深い口づけに、昴が上手く息が出来ていない事に気付いた時平が口を離した。

二人の間に糸が引いた。

それを舌で絡みとりながら、真っ赤な顔の昴を心配気に撫でる時平。

「昴…、息をしやれ…。」
「ふぁ…ふぁい…。」

舌が痺れて呂律が回っていない。

そんな昴はクタリと時平の胸板にもたれ掛かって荒く息をしながら、初めて聞く少し掠れた時平の声や仕草に鼓動が再び跳ね上がるのを感じた。

「大丈夫か…?」
「時平さん…胸がトクトクします…。」

今までにない切ないような苦しさに自分の胸に手を添えながら訴えると、時平がコクリと喉を鳴らすのが見えた。

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あきゅろす。
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