裏小説 源流三 「僕…たい……で…す。」 「ん?すまぬ。良く聞こえなかった。もう一度お願いする。」 時平の前に正座した昴は体を縮めて、ボソボソと話したが、聞こえなかった時平が聞き直した。 時平に尋ねられて泳ぐ昴の目線に、あの春画が仕舞われた箪笥が目に入った。 ちなみに、今彼等は昴の殺風景な私室の畳の上に向き合って座っている。 「僕…僕…。」 「ん?」 首を傾げる時平。 水干の上の艶やかな長髪がサラサラと服の上を滑った。逞しい彼の首筋があらわになる。 意を決した昴が顔を上げて叫ぶ。 「僕!時平さんと交わりたいです!同衾したいです!」 その後訪れた静寂に死にそうになった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |