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裏小説
1.5ニャア
教室に入ると、私に抱き着いてくる子猫ちゃん達。

「先生〜おはようございます。」
「おはよう皆。」
「「遅せーよ先生!」」
「先生、私クッキー焼いて来たの!食べて食べて。」
「おぉ!ありがとう。」
「狡い!僕達も食べる。」
「奪え奪え〜。」
「ニャー!?何すんのよ!」
「こら!リースにキース。手を出さない。」

抱き着いてきたフワフワ飴色の毛並みの美少女と虹色の毛並みの双子と戯れていたら、後ろから無愛想な声がかけられた。

「ちょっとちょっと、さっさと授業を始めてよ。」

怒りを含んだ声に頭をかきながら振り向くと、綺麗な三毛の少年が居た。

「遊びに来てんじゃないんだからさ、あまり騒がないでくれる。」

教科書を片手に入口に立っている少年は、バシンと不機嫌そうに尻尾を床に叩きつけた。

「ゴメンゴメン。」
「ふんっ!」

チラリと私を見上げた少年は、大股で歩いて自分の席に歩いていった。

「何よレイン!先生に失礼よ!」
「まぁまぁフワリ。授業の時間が始まっていたのに気付かなかった私にレインが教えてくれたんだ。」
「本当だ〜。気をつけないといけないんだ〜。」
「だ〜。」
「ほらほら皆、授業を始めるぞ。」

パンパンと手を叩きながら促すと、皆は素直に自分の席に戻った。

授業を始めながら、チラリと三毛猫の少年を盗み見る。彼は仏頂面のままノートを広げている。

彼の名はレイン。

村の防人の子だ。
私がまだ森に来たばかりの頃に彼の父親に色々世話になり、家族ぐるみの付き合いだ。何度も家に招かれた事もある。

その時に私に懐いて慕ってくれていたレインだった。以前は会う度に笑顔でゴロゴロと擦り寄って来てくれたが、いつしか彼は私と距離を置くようになってしまった。

昔は一緒に寝たり風呂に入ったりしたのに、今は会っても無視されるし、名前で呼ばれることすらない。アンタ呼ばわりである。

ふうっと溜息をこぼした。

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