#アレニル
君の想いは、視線は、今何処を向いているんだろう?ふとそう思う時がある。
「ロックオン」
呼びかけに応える声は無く、ロックオンは何かを考えている様子だった。時々彼はそうだった。 何を考えているのか、良く分からない時がある。普段は優しく細められる瞳が今は、何処か虚ろだ。今、此処にロックオン自身の心は無いのかもしれない。僕が傍にいるのにも関わらず、呼びかけても気づいてもらえない。それが不満だと思ってしまうのは、自分が彼よりも子供だからなのだろうか。彼の視線を自分に向けさせたくて、アレルヤは名を呼ぶ代わりにグイッとロックオンの顎を上向きにして、その唇に自身のものを重ねた。
「ん?ん・・っ」
この口づけに漸く我に帰ったのか、ロックオンは苦しげに眉を寄せるが、さほど抵抗は無く、そればかりか大人しく僕の口づけに応えてくれる。 その事に、こんなにも安心するのだ。
「お前・・なぁ。いきなりすぎるんだよ。」
チュと音をたてて、唇をゆっくりと離すと、頬を少し上気させながら、文句を口にしたロックオンと眼が合う。
「やっとこっち向きましたね。」
「あ?」
フワリと微笑み、アレルヤはロックオンの腰へと腕を回し、その身体を抱きしめる。
「おい・・アレルヤ。」
「お願いですから・・ロックオン。」
「んだよ?」
「僕が傍にいる時は、僕だけを見てください。」
「・・子供かお前は。」
「子供で良いです。」
ロックオンの肩に顔を埋めながら、甘えるように抱き着いてくるアレルヤに、ロックオンは呆れたようなため息をついた。
「ったく・・悪かった。お前といる時は他の事考えねーよ。」
「約束ですよ?」
「あぁ。」
自分でずるいと思いながらも、アレルヤはこんな風に優しいロックオンに、口元を緩め、更に強くロックオンを抱きしめた。今は尋ねない。だからその心を独占する事を許して下さい。アレルヤはロックオンを抱きしめながら、心内でそっと呟いた。
すれ違う君との視線
END
●お題配布元●
A.M 0:00
http://id15.fm-p.jp/8/amreije/
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