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幸福な日





#アレニル/アレルヤ誕生日記念










「アレルヤ」

自分に呼び掛ける柔らかな声が耳に届いて僕は、宇宙へと向けていたその視線を声がした方へと向け、振り返る。ガーと彼の背後で扉が自動的に閉まり、肩にかかる少し長めの栗色の髪を揺らして、彼は、ロックオン・ストラトスは僕に笑いかけてくる。その優しい笑顔にトクンと鼓動が少しだけ跳ねたけれど、僕は彼に気付かれなように彼の呼び掛けに自分もニコリと笑みを浮かべる。それでも敏い彼の事だ、僕が嬉しがってる事に気づくかもしれないけれど。

「ロックオン。」
「どうした?こんな時間に。」
「ちょっと、眠れなくて。」
「そうか。」

実は俺もだと、ロックオンは苦笑を零して僕の隣に歩み寄る。それを横目で見つめながら、フワリと香ったシャンプーの匂いに再びトクンと僕の鼓動が脈をうった。

「ロックオン、もしかしてさっきまでシャワー浴びてました?」
「ん?あぁ、何でだ?」
「貴方の髪から甘い匂いがしたので。」

彼に一歩近づいて、スンと彼の髪へ鼻を近づける。やっぱり甘い香りがするとアレルヤが呟くと、おいっと少しだけに低くなったロックオンの声に、あれとアレルヤは首を傾けた。

「どうしたんですか?」
「どうしたじゃない。お前それ、男に対して言う台詞じゃないだろう?」
「僕、可笑しなこと言いましたか?」
「おかしいというか、な。いや、やっぱ何でもない。」

僕がまだ訝しげにロックオンを見つめると、気にするな何でもねーよと、軽く頭を撫でられる。ワッと驚いて僕が声をあげると、楽しげに笑みを浮かべたロックオンにアレルヤはムッとした。また、この人は僕を子供扱いだ。

「子供扱いしないでください。」
「んー別にしてないぜ?可愛いなーとは思ってるけどな。」
「やっぱ、してるじゃないですか。」
「だって、お前まだ二十歳になってないだろ?年長者としては、甘やかしたくなるんだよ。」

まぁ、これは俺の性分みたいなもんだからとロックオンは。そんな彼に僕もつられて苦笑を零す。子供扱いされたくないと思いつつ、こんな風に彼に頭を撫でられるのは嫌いじゃないのだ。それは彼が本当に僕を子供とは見て無いという事を知っているからだ。同じガンダムマイスターとして対等に見てくれる。その態度に嫌な感じは受けない。彼にその自覚は無いのだろう。けれど彼には何処か自分や他のマイスターを和らげてしまう力がある。やっぱり僕はまだまだ彼に敵わないなと、アレルヤは薄くその口元を上げた。ロックオンと比べればまだ自分は子供だ。彼との年齢の差が正直妬ましくも思う。けれどこうして自分の隣に彼がいてくれる、その事はとても嬉しくも思うのだ。そんな事を思うことが既に子供なのかもしれないが嬉しいものは嬉しいのだ。

「ロックオン。」
「何だよ?」

僕が彼の名を呼ぶと、ロックオンは僕の視線を真っ直ぐと捕えて、そう疑問を投げかける。僕がそのまま何も言わずにいると、もう一度だから何だよと、再び声を出す。先程よりも小さな声。彼は居心地が悪くなったのか、それとも照れたのか、視線を僕から少しだけずらした。その姿が何だか可愛く見える。思わずアレルヤはロックオンに抱きついた。おいっと、焦ったロックオンの声が耳に届くが、それすら今の僕には、嬉しいという感情を増大させるだけだった。今日という日が、少しだけ彼に近づけたかもしれないという思いが、いつもより大胆な行動に僕にさせたのかもしれない。

「・・なりました。」
「え?」
「なったんです、さっき。僕。二十歳に。」
「・・そう、か」

一瞬だけアレルヤの言葉に目を丸くさせて、けれど直ぐにそりゃあおめでたいなとロックオンは僕に抱きつかれながらくくっと笑った。なんで笑うんですかと、僕が言うと、いや別にーと引っ掛かるような返事をする。

「怒っても良いかな、ロックオン?」
「悪い悪い、そんな不機嫌な顔するなって。」

ロックオンは一通り笑い終えると、そっかお前ももう二十歳かと、あんなに小さかった奴がなとそう呟き、何かをたくらむかのようにニヤリとその口元にロックオンは笑みを浮かべた。

「それで?二十歳になったアレルヤは、俺に何をお望みなのかな?」

クイッと僕の顎を捕えて意地悪な表情をしたロックオンに、この人はまた僕をからかってるなと呆れに近いため息をついた。それでもこうしている事自体がやはりアレルヤにとっては嬉しかった。

「なら、言って良いですか?」
「どうぞ、俺に出来る事ならな。」

余裕な笑みさえ浮かべるロックオンに少しだけ複雑な思いを抱きながらも、ロックオンの言葉にクスリとアレルヤは笑みを浮かべて、それを口にした。

「キスして下さい。」
「そんな事なら、喜んで。」

ロックオンは柔らかな笑みを浮かべて僕に低く甘いその声で囁くと、瞼を閉じて僕に優しく唇を落とした。


「happy birthday allelujah .」











幸福な日














END
(一日遅れたっ、けど誕生日おめでとーアレルヤ!)










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