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私についてくればいい(ドロニル)





#ドロニル










「コーナーさん?」

少し伸びた茶色の髪を揺らし、長身のその男が、目の前の男の名を呼び、口許を悪戯気に上げる。
 ソファーへと腰を降ろしていた、コーナーと呼ばれた男の元へと彼−ロックオン・ストラトスは近づき、男の肩にそのしなやかに筋肉が整った白い腕を回し、
男の上へと憚ると、まるでねだるようにその切れ長の瞳を細め、男の首元へと顔を埋めた。

「どうした、ロックオン?」
「・・別に、何でも無いですけど、ちょっと・・」

 先程の悪戯気な笑みとは裏腹、今度は、はぁと重い溜息をロックオンはその口許から吐き出す。
 アレハンドロは、その少し疲れたと見えるロックオンの様子に目を細め、クスリと笑みを零した。

「フッ・・甘えてるのかい?」
「・・馬鹿、言わないで下さい。」

 そんなんじゃ、と続けようとしたロックオンの言葉を、アレハンドロは彼の顎を捕らえ、上向かせると、奪うように口づける。

「ん・・ふ、ちょ・・いきなり何・・」
「物欲しそうにしていたからね。今日は、何だか君が可愛く見えるな。」
「普段は、可愛くない・・・と?」
「そんな事は言ってない。ただ・・」

 アレハンドロは、唐突にソファーにロックオンを横たえ、彼に覆いかぶさると、女性が誰でも見惚れてしまいそうなニコリとした笑みを浮かべる。
ロックオンいわく、胡散さ満開な笑みだそうだが。

「今日は、君が素直になってくれれば、甘やかしてあげられるんだが、どうだい?」
「・・と言われてもですね。」
「ちなみにこれは、私からのリクエストなんだが?」
「つまり、俺を甘やかしたいと?」
「ご名答と、言っておくよ。」
「・・・まったく、しょうがない人だな、あんた。」

 本当にアンタ国連大使かよと、ロックオンは呆れたとでも言うように、溜息を吐きながら、それでも何処か嬉しいそうに、アレハンドロには感じられた。
指摘してあげても面白いとは思うが、彼が不機嫌になるのは困るので、黙っておく事にする。
 自分も相当やきがまわったものだ。
この成年にここまでいれこんでいる自身にアレハンドロは驚きつつも、それを不快には思わない。
むしろ興味深く思う。
始めは、彼と主従が成り立ってから始まった身体だけの関係であったはずなのに。
 自身がソレスタルビーイングの監視者として甘んじている、本当の理由を知ったら、彼はどう思うだろうか?
いや、考えるまでもなくロックオンは自身に銃口を向けるだろう。
矛盾した感情だが、それが楽しみだと思いつつ、傍に置きたいとも思っている。

「火傷したかな?」
「は?何処でですか?」
「うーん・・君に?」
「・・・頭のネジどっか飛びました?」
「ひどいな。」

クツクツと、笑いながら彼とこのように話す時間が楽しい、と。
思う自分を可笑しく思う。
本来、自分は欲深い。
なら手にいれるべきだと思うが、自身の手に落ちるような男ならば、こんなにも気にいってはいないだろう。
自身の捻くれ加減は理解しているつもりだ。
私は、手に入らないからこそ、彼自身は気にいっているのだ。


「困った男だな、私は。」
「今更ですか?俺は始めから、承知していたつもりですが?。」
「どんなとこがだい?」
「その、胡散臭いとこ。けど俺、あんたのそういうとこ嫌いじゃないですよ?」

ロックオンはニヤリとした笑みを浮かべたかと思うと、スッと底冷えするような瞳を自身へと向けた。

「アンタは絶対に俺に本気にならないからな。」


やはり、君は面白い男だ。そんな彼に、いつまでも傍に、私についてくれば良いと口にしたならば、どんな顔をするだろうかと、ふと言いたくなる衝動に駆られるが、アレハンドロは直ぐにその感情を打ち消した。

一瞬の快楽よりも、彼と共に長くその心地良さを味わった方が、私にとっては都合が良い
一種の共犯者的な関係に、終わりを告げるのは、果たしてどちらが先なのか。
アレハンドロは、必ず来るであろう近い未来を考えながら、その口許に笑みを浮かべ、ロックオンの唇に自身のそれを、普段より更に優しく重ねるのであった。
























アレハンドロ視点は難しいが、チューは好きなんですと主張。





お題配布元
確かに恋だった






あきゅろす。
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