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/OO
★侵食(ハレライ)




#ハレライ
(*唐突にそういうシーンから始まっています。)



























それはとてつもなく性質の悪いものだった。感覚を形作る一つ一つがじりじりと追い詰めて、その動きに過敏に身体は反応を示す。
蠢く内部に、何とも言えない複雑な感情がグルグルと蟠っていた。しかし男の身体は、欲望というものに顕著だ。

男は−ライルは何度も頭の中で呟いた。

これは、夢だ。

そう言い聞かせなければ、今までの倫理勧は音をたててガラガラと崩れていきそうな気がした。
その思考が、ライルにとっては今、この状況に対するひそかな逃げであり、抵抗であったが、そこに余裕という感情は皆無に等しかった。

奥深くを相手のそれで強く突かれ、痙攣したかのようにライルの身体が震える。
衝撃に熱に浮かされ遠退きかけていた意識が、再びリアルへと引き戻された。

(つ・・くそったれっ!)

抵抗する力は既に根こそぎ奪われていたが、それでもどうにか薄く眼を開き、力無くも目の前の男を睨みつける。
すると奴は満足そうに、口許に笑みを形作った。

奴は笑い、この状況にも関わらずまるで楽しんでいるかのように、声を弾ませる。

−何、笑ってやがる。−

出来るならそう罵ってやりたい。
けれど、そうする体力も残っていない。
浮かんでは沈んでいく頭の中の台詞は、口から零れることもなかった。
それがとても憎らしい。そう思った。

「今は、テメーが、ロックオン・ストラトス・・ね。」

ビクリと、その男の言葉にライルは反応する。あからさまに、前のロックオンの、自身の兄の存在と比較してくるような言葉が、しゃくに触った。

「なんだ、怒ってんのか?事実じゃねーか。」
「・・く。」

奴が言っている事は事実ではある。けれど、そう言われて、比べられて、気分が良い訳は無い。怒りで更にライルの身体は熱くなる。

「怒るなよ。まぁ、確かにあいつとは全然ちげーよ。」
「・・つっ!?」
「そう言って欲しいんだろ?」
「っ!?ふざけるな・離せんっ・・く」

無理矢理に顎を捕まれ、口内に相手の侵入を許してしまう。
俺の身体は、目の前の男に喰い潰れてしまうんじゃないだろうか。
普段おっとりしている態度とは裏腹、今、目の前にいる男は乱暴で、凶器じみている。
奴の振る舞いそのものに、違和感を感じる程に。


「・・・同じ顔して、全くの別人ってのは・・まぁ・・奇妙だよな。実際に。」
「・・っ・は、やめ・」
「ある意味、俺とテメェーは、一緒かもしんねーって事だな。」
「どういう・・く・・!」

それはどういう意味なのかと、言い終える前に無理矢理顎を掴まれ、再び口づけられてしまい、その言葉は塞がれる。
代わりに口からは僅かな喘ぎ声が漏れた。

自身を揺さぶられて、中をえぐる異物感が気持ち悪く、いっそこのまま、舌を噛み切って、死んでしまいたいくらいだったが、慣れは恐ろしい。
暫くして、男が感じるはずのない場所で、まるで女みたいに、ライルは感じ始めていた。
揺さぶられて、相手のもので内部を擦られて、熱が生まれて、身体が熱く更に敏感にライル自身を追い詰める。
その行為にライルは不本意にも感じ始めていた。

何故こいつは俺にこんな事をするのか。ライルはそう思ったものの、けれど与えられる快楽に、それは頭の片隅に追いやられる。

「ぁ・やめ・・ろ、アレル・・」
「アレルヤじゃねーよ。」

ライルは無意識に相手の名を呼んだが、男はそれを拒絶する。それは奴自身を否定する言葉だった。
先程といい、今といい、まるで普段の奴とは別人だと言っているような言い回しだった。
ならば、こいつは誰なのか、しかしその身体は、その顔は、確かにアレルヤ=ハプティズムのものだ。
別人であるはずなどない。有り得ない。
それでも、自身に纏わり付くこの違和感はいったい何なのか。

ライルは訝し気に、男の瞳を覗き込み、僅かに驚く。あまり気にしたことなど無かったから、ライルは今までそれに気づかなかった。

その両目は左右で色が違った。
オッドアイ。
そして、その片方のぎらつく金色の瞳に、ライルは息をのむ。

「俺は、ハレルヤだ。」
「ハレ・・ルヤ」

神を讃える筈である、その言葉と同じ名は、皮肉と言わず、どう言うのだろうか。

「覚えろよな、ライル。」

耳元で囁かれる。
カタロンのジーン1として、そしてソレスタルビーイングのロックオン・ストラトスとして、今は殆ど呼ばれる事の無くなった本当の名を、目の前の男は、あっさりと口にした。何故心地良いと感じてしまうのか。
自身の名を呼ばれて、嬉しいと感じたのは、今まで、唯一一人だけであった筈なのに。
そんな自分にライルは、腹がたって仕方が無かった。

それでも、
それでも、そのハレルヤという名と、金色は強くライルの頭に残ってしまった。
侵食してくる金色。
侵食され、染まっていく。
今までの自身が変えられていく感覚。

(兄さん)

頭の片隅でぼんやりと兄の顔が浮かび、それは掻き消されたかのように、消えていく。
その残像に手を延ばしたいと思い、届かない自身にライルは愕然とした。

それは、ライルの中で何かが崩れていく瞬間だった。
































*ハレライに関しては書きたい事もあるし、一つの短編だけじゃ書きれないので、あえて全部は語らずに、まだ他に書けるように、こんな感じにしてしまいました。
私の中の、原作沿いハレライ設定の一部だという事で、お願いします。



お題配布元
http://hanauta.yukihotaru.com/
sitename>>ハナウタ



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