[携帯モード] [URL送信]

/OO
堅く繋いだ手(アレニル*微シリアス甘)







#アレニル











その時間にふと意識が上昇して、眼をゆっくりと開いた。未だ覚醒したばかりのせいか、ぼんやりとした意識の中、しかし少しでも意識をはっきりさせようと、ロックオンは自身の瞼を二、三度眼を瞬かせる。
室内は真っ暗で、明かりもない。その暗闇に眼が慣れるまでは、多少時間がかかってしまうだろう。
眼で確認はまだ出来ない。けれど静まり返った雰囲気を肌で感じ、起きるには未だ早い時間なのだと、悟った。無意識に辺りに眼を配る、調度自身の眼も暗闇に慣れてきたのか、はっきりではないが、徐々に室内に置かれている物の輪郭が見え始めてきてた。
眼が覚めてしまったものは仕方が無いし、二度寝する気にもなれず、なら起きるかと、ロックオンはその身体をベットから起き上がらせようとした。けれどその時に成ってやっとその違和感に気が付く。
寝る時は手袋を外した無防備な自身の指に絡むそれ。
手はベットの中の為、それを眼で確認する事は出来ないが、確かにそれは自身の掌を強く握っている。
当の本人は穏やかな寝息をたてながら眠っているようだ。余程疲れているのか、起きる気配は無い。
そんな彼に、ロックオンは笑みを零した。


「堅く繋いだ手」



次の日は早くからミッションがある。
あまり身体に負担をかける訳にもいかず、今日は駄目だと、予め釘を刺せば、アレルヤは残念そうに眉を下げた。
けれど、アレルヤとてそれは十分解っているからか、直ぐに優しい笑みを俺へと向けて、
解りました、今日はゆっくり身体を休めてください。じゃあ、おやすみなさい。
と、去り際にそう言いながら、自身の部屋に戻ろうとその腰を浮かす。けれど・・そんな顔されたら、こっちが堪らない。
つい、ロックオンはアレルヤの腕を咄嗟に掴み、引き止めてしまう。

そして今日はしないという条件で、一緒に眠らないかと自分から誘った。
自身が口にしてしまった事だとは言え、これはこれで、とてつもなく恥ずかしい気もするが。

アレルヤは驚いたように眼を瞬かせたが、その頬が徐々に紅くなり、そして嬉しそうに笑って、はいっと声高にそう自身に応え、再び腰を降ろす。

それでも遠慮がちにしているアレルヤに、ロックオンは、ほらっと手を伸ばし、こちらに招いた。
男二人して、身体を重ねる以外で、一つのベットに包まるというのは、やはり気恥ずかしいものがあったが、たまにはそんな日があっても良い。
アレルヤも最初は恥ずかしがっていたものの、自分が急かすと、やはり嬉しそうに笑みを零して、お邪魔しますと小さく呟きながら、既にベットへと入り込んでいた俺の隣へと潜り込んでくる。
狭い簡易ベットで、図体がでかい男が二人、何をするでもなく、向き合う。
なんともおかしな状況に、二人して笑ってしまった。

(ロックオン。)
(ん?)
(あの・・・)
(何だよ、早く言えって。)

何かを言い倦んでいるアレルヤに、焦れったい感情を覚え、ロックオンはそう言葉をかけてしまう。

(手・・)
(あ?)
(手・・・繋いでも良いですか?)
(・・・・・・・。)
(あ、今子供っぽいって思った?)
(いや、まぁ少しは・・)
(どうせ、子供ですよ。貴方に比べれば・・)
(アレルヤ。)

ふて腐れたように、不機嫌そうな顔を隠さないアレルヤに、可愛いなと、本人に聞かれれば頬を真っ赤にさせそうな事を思いながら、彼の手を自ら引き寄せ、自身のものと絡ませる。
ビクリとアレルヤの身体がその瞬間震えたのが、可笑しかった。

(なんか、変な感じだね。)
(そうか?)
(うん。でもなんか、安心する。)
(アレルヤ。)
(はい?)
(それは、あれだ。)
(何です?)

重ねた掌を、ロックオンはギュッと握る。

(こうやって、繋がってるからだろ、多分。)
(え?)
(離れられないだろ?お互い。)
(・・・ロックオン。)
(ん?)

アレルヤもぎゅっと、自身の掌を握り返した。

(離れませんよ。)

掌に更に力が篭る。離したくないとでも言うかのように。

(・・・嘘つけ。)
(信じられない?)
(全てに絶対は無いだろ。)
(・・・・・・。)
(永遠なんて言葉を使うやつは、信用ならんのさ。少なくとも俺は信じないな。)
(ロックオン。)

その先の言葉は続かず、ロックオンは何も言わなかった。
アレルヤも何も言わなかった。
そして静寂が彼らを包む。
二人はそのまま何も言わずに、互いに眼を閉じた。
けれどその掌は、互いを握り合ったまま、しっかりと繋がっている。

ロックオンは、ふと考えてしまった。
もしこの先俺がこの腕を拒絶しても。

(アレルヤ、お前さんが・・)

お前が繋ぎ止めてくれるなら、戻ってこられるような気がする。
湧いた感情が、自分らしく無いと思いながら、それでもこの手を離せない自分がいた。






起きる気配もないのに、いまだしっかりと握られたそれ。
皮肉も含めて自分は笑う。
けれど今も自分を離さない、堅く繋がれた手に、アレルヤのその暖かい掌に、どうしようもなくロックオンは泣きたくなった。


「本当、馬鹿だな・・・・お前さんは。」




















永遠は無いと知りながら、それでも互いに離れられない二人が好き。



お題配布元
http://hanauta.yukihotaru.com/
sitename>>ハナウタ





あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!