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★そして彼女は微笑んで(ライル→ニール)








#ライ→ニル
(*二期本編ライフェルキス派生。ライル自慰話。
ニルライニル)












頭の苛立ちが収まることは無い。ズキズキと鈍痛が頭に響く。それが煩わしかった。








先日伝えられたばかりの暗証番号を記憶の中から引きずり出し、頭に浮かんだケタそのままにタッチパネルに指先で触れ、確定キーを最後に押した。
承認音がピーっと廊下に響き渡り、目の前の扉が横へとスライドする。そうすると備え付けのベットとデスクがあるだけの殺風景の部屋が視界に広がる。
そこは自身の部屋だ。いや正確に言えばソレスタルビーイングという組織に勧誘され、此処に来て今のガンダムマイスターとしての自分、ロックオン・ストラトスという男に宛がわれた部屋だ。自身が来てから日はそうたってはおらず、私物というものすら殆ど無い。
けれどその部屋は自分が一人きりになれる唯一の空間だった。

ライルはそこへと足を踏み入れる。後ろで扉が自動的に閉まるのを感じ、漸くその口元から重い息を吐き出した。
独りと言っても、俺が来てから、自身に預けられる事になったオレンジ色の球体がいつもは傍にいる。
前に兄さんがそのAIロボットを相棒と呼ぶ程に可愛がっていたみたいだ。
だがそれが今、今度は自身の傍にいる。なんとも、皮肉な話だ。
そのAIのロボット、ハロはつい数分前までは一緒にいたのだが、この部屋に戻る途中に、ガンダムの整備にそいつが必要だからと、ソレスタルビーイングの整備士である、イアンヴァスティーという男が、俺に一言詫びて、ハロを掠っていった。
別に俺の私物という訳ではないのだから、勝手に持って行けば良いだろうに。
単なる彼が、律儀な性格なのかもしれないが。とりあえずこれで本当に独りきりだ

パイロットスーツから着替えるのも億劫で、ライルは一直線に部屋に備え付けられた質素なベットへと歩を進め、その勢いのままに倒れ込む。
ズキズキと頭に響くこれは未だ治まらない。
腕を上げ、頭を抑える。
くらくらと頭痛のせいか意識が霞む。
けれどその中で何故だか桃色が自身から離れていかない。そして、そのすぐ側には何かが。

(そういえば彼女の髪は桃色だったな。)

つい先程までの出来事を思い出し、頭の痛みから無意識に刻まれた皺は更に多くなる。
自分は兄さんとは違う。
そう口にすると、彼女は解っていると己に言い聞かせるように言葉を二度繰り返し、そっとその小さな胸元を小さな掌で抑えた。
その彼女の姿が、何故だかライルは煩わしく感じてしまったのだ。
そして何時の間にかライルは、スルリと彼女の小さな顎をその指は捕らえていて、自身へと引き寄せていた。

彼女はあの時、何を思ったのだろうか。
俺の双子の兄の姿を思い出しでもしていたのだろうか。
俺が知らない。兄の姿を思い出しでもしていたのだろうか。
苛立ちが収まらない。
彼女は知っている。
俺の知らない兄の姿を。
自分が兄と遭えない間に、彼女は兄の直ぐ傍にいたのだと。

頭が重い、煩わしい。
それを掻き消すように眼を閉じる。
けれどもそれは多少和らいだものの、無くなることは無かった。
何かは解らないそれが、窮屈で堪らなかった。

「兄さん・・」

頭を抑えていた掌を下ろし、それは自身の下腹部へと辿る。
まだ何も反応していない自身にパイロットスーツ越しに触れる。ヒクンとそれが何かを求めていたかのように震えた。
そして気が付く。そうだ自分は未だパイロットスーツのままなのだ。このままだと直に触れられない。
ライルは軽く舌打ちをし、自身の胸元を探り、急かし気味にチャックを降ろし、それを開く。両腕をそこから出してパイロットスーツを腰まで落とした。そこからは一気に、それを引き下ろし脱ぎ捨てる。

「ん・・」

アンダーシャツとボクサーパンツのみの姿となり、掌を覆っていた黒の手袋をも取り去ってしまう。
ライルは布越しに密かに反応し始めていた自身をソロリと撫でた。
ちょっとした刺激に、ゾワリと快楽を感じ身体が震え、もっと、と同じく震えるその掌を下着の中へと侵入させ直にそれに握りこむ。
既に硬くなったそれを追い込むように、上下に擦り上げた。

「・・ん・・ぁ」

しているうちに、下着も邪魔に成って来て、それも脱ぎ捨てる。
完全に外気に晒されたそれは、室内の空気の冷たさにさえ、反応したかのように、そそり立つ。
やがて、亀頭からじんわりと自身の欲望が滲じみ出した。
想像する。成長した兄の姿を頭の中で、思い浮かべる。
外見は自分と同じ顔。殆ど外見も声も身体の作りも変わらない自分の双子の兄。
自分は今、その兄の顔を想像して、こんな風に自慰に耽けている。
これじゃあまるで自分自身をオカズにしているようだ。

(変態か、俺は。)

ライルは快楽により生まれた熱からか額に汗を掻きながらも、その口元に皮肉気な笑みを浮かべた。
それは直ぐに、下から這い上がってくる快楽に、余裕無い表情へと戻る。
ライルはそう思いはしても、掌で自身を擦り上げるのを止めようとしなかった。
はしたない程に揺れる腰を止める事が出来なかった。

自分の中の兄さんの記憶は幼い頃で止まっている。
けれど、もし今の自分ように成長した兄さんが、自分の名前を呼ぶのだとしたら、
昔のように優しく、そして大人へと成長した彼は、きっと昔と同じように、そして今の自身よりも密かに低い声で呼ぶのだろう。

(ライル・・)
「ニー・・ル・・く・・ん!」

限界を迎え、ビュクリと白いそれが、自身から飛び出る。ドクドクと溢れ出る白濁を掌で受け止めて、ライルは、ハァーとその口から、熱い息を吐き出した。

(ハッ・・さいてー。)

まさか兄さんで抜く日が来ようとは。
けれどどうしようもない気持ちがそこには有った。
ライルは傍にあったテッシュで、サッと掌だけを軽く拭い、白濁で汚れてしまった下肢はシャワーでも浴びて流してしまおうと、
下肢を剥き出しにしたままアンダーシャツのみの姿で、ベットから立ち上がり、個室に備え付けられたシャワールームへと足を向けた。

あの未だ幼い彼女が、兄さんにニールに恋をしていたのだと、あの時の反応だけで解った。
多分、兄さんの事だから、あの幼い彼女を無下に出来なかったのだと思う。
たとえ彼女が幼さ故に、感情を自覚していなかったのだとしても、きっとニールの彼女に対するものは優しかったんだろう。
嬉しい時は一緒に笑って、悲しい時は慰めて貰って、そして彼女が微笑んで、兄も、ニールもそんな彼女に優しく微笑でいたのだろう。
俺は長い間、逢う事すら叶わなかったというのに。

「最低・・だな。ほんとに・・」

自分の醜い思いにライルはまた皮肉気に笑った。
兄さんの自慢の弟でありたかった。自分が此処までこれたのも兄さんのお陰で、そんな兄に感謝していた。
けれど違った意味で、自分の中でこんなにも兄の存在が大きかったのだと、ライルはこの時初めて自覚しそして絶望したのだ。


ーそして彼女が嬉しそうに微笑んで、そして彼が優しく微笑んで、
そして自分は気づいてはいけなかった思いを自覚して、醜く笑ったー




















欲に忠実になってみました。




お題配布元
http://hanauta.yukihotaru.com/
sitename>>ハナウタ






あきゅろす。
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