[携帯モード] [URL送信]

/OO
年齢差(ハレライ*パラレル)






#ハレライです。
(学生ハレルヤ×社会人ライル。二期前に書いたものなので、ライル像ねつ造。)


















あいつと初めて会ったのは、調度俺がバイトの帰りから家へと帰宅していた時だったような気がする。もうそろそろ日付が変わろうとするような時間帯だ。その日は雨がパラパラと降っていて、俺は傘をさしながら何時もの帰り道をズボンのポケットに手を突っ込みながら、歩いていた。家には自分の双子の兄であるアレルヤが、未だ寝ずに待っているだろう。だが、今日はバイトだから遅くなると言ってあるから、そこまで急ぐ必要も無い。ハレルヤが何時も通り、帰り道にある小さな公園の前に差し掛かった時だ。公園の入口前で、その男は立ち止まっていた。自分と同じくらいの平均身長よりいくらか高めの身長、茶色い、男にしては少し長めの癖がかった髪、黒い傘をさしながら、その男はその公園の入口で、固まったようにその場から動かず、何かを見つめている。
 実際年齢は見ただけでははっきりしないが、おそらく自分よりは年上だ。
 普段のハレルヤならば、そんな男など気にせず、そのまま通り過ぎていただろう。だが、ハレルヤはその時、そうしなかった。その男の何処かを見つめるその瞳が、ハレルヤの何かを引き付けた。

『おい、あんた。』

 ハレルヤは思わず声をかけていた。自分が何故、こんな行動に出たのかも、自身すら理解出来なかった。
男はその声に、ゆっくりとこちらを振り返る。

『何か、私に用でも?』

 低く良くとおる声、しっかりしたそれは、その男の厳格さを表しているようだ。
 ハレルヤは思わず、軽く舌打ちをする。特に用があって声をかけたという訳ではないから、その男にどう言葉を返して良いのかも解らない。どうして俺は声なんかかけちまったんだと、ハレルヤは後悔する。

『そちらから話しかけておいて、舌打ちは無いだろう?』
『うっせーな、俺の帰り道で、あんたがボケッと突っ立ってんのが、悪りぃーんだろうが。』
『君が言うように、私がそんな間抜け面で、立っていたとでも?』
『あぁーしてたね、こっちがイラつくくらいな。』
『初対面なのに、口が悪いな君は。』
『性分なんだよ。』

 そんなハレルヤの言葉にその男は、そうかと苦笑し、再び先程のようにある方向へと視線を送る。ハレルヤは今更黙って通り過ぎる事も出来ず、その口から溜息をつくと、男の隣へとその足を向けた。

『で、あんたさっきから何してんだよ。』
『・・・犬。』
『は?』
『犬が、あそこにいるだろう?』

 男が指を指した先、公園のベンチの下にあるダンボール箱の中に小さな白い子犬がいる。

『どうしようか、と思ってな。私の家はマンションだから、犬は飼えないから連れていけない。けれど、あのままにしておくのも可哀相だろ?』
『それでずっと、突っ立ってたのかよ。』
『離れ固くて・・な。』

 馬鹿だとハレルヤはその男に対して、そう思う。そんな理由であそこにどれだけいた?と尋ねようと思ったが、余りにも馬鹿馬鹿しくて止めた。こんな馬鹿な奴をハレルヤはもう一人知っていた。
 こんな遅い時間にも関わらず、自分の帰りを眠らず待っていてくれる双子の兄。ハレルヤは再び溜息をその口から漏らすと、その男の傍を通り過ぎて、公園内へと入る。そしてベンチの所にまで、足を運ぶと、その下にあるダンボールにいる白い子犬を抱え上げ、元いた場所に戻った。
 ハレルヤが子犬を抱えて、戻ってくると、男は驚いたように目を見開き、ハレルヤを凝視する。その顔があまりに呆気に取られていたものだから、ハレルヤは思わず吹き出した。

『あんた、なんて顔してんだよ。』
『いや・・その、まさか君が飼ってくれるのか?』
『まぁ、兄貴に了承得てからだけどな。』
『そうか、悪いな。』
『てめぇーの為じゃねーぞ。こいつが今度此処に俺が来て、死んでたら後味悪いからな。』
『素直じゃないな。』
『うっせ。』
『照れる事も無いだろう。』

 ふわりと、嬉しそうに微笑んだそいつの表情が、あまりにも予想外に綺麗で、ハレルヤはドキリとし、思わずそいつから目を反らした。

(何が、男にドキッだよ。馬鹿か俺。)

 ハレルヤは振り払うように、頭を振り、その男に向き直る。訝しく自身を見ていたそいつに、ハレルヤはその口を開いた。

『俺ん家、ここから歩きで5分もねぇーんだ。』
『?』
『あぁーつまりさ、あんたが時間があいたら、いつでも、こいつの様子見に来ても良いってことだっつの。』

 こいつ。と、ハレルヤは腕に抱えた白いそれを揺らす。再びそいつは驚くようにその瞳を見開いて、けれどそれはすぐに優しいそれへと変わった。

『君が、許してくれるなら、そうさせて貰うよ。』
『ハレルヤ。』
『ん?』
『ハレルヤ・ハプティズム。俺の名前。君とかあんたとか、呼びづらいだろ?』
『そうだな。私・・いや、俺はライルだ。ライル・ディランディー。』
『ライル?』
『あぁ、そうだ。ハレルヤ。』


 ハレルヤは、初めてライルと会ったその時の事を思いだし、顔をしかめる。そのライルは今、急に仕事が入ったとかで、自身の目の前で身支度している。ハレルヤはいらついたようにそんなライルを睨みつけた。

「本当、てめぇーは変わらないよな。ライル。」
「何がだ?」
「その無駄にお優しいとこだよ。ちっとも変わりゃしねー。今日だって本当は仕事オフだったんだろ?」
「仕方ないだろう?同僚が風邪を拗らせたんだ。代わりに俺が穴を埋めるのは当然だ。」
「にしたって、てめぇーが行かなくても良いじゃねーか。」
「なんだハレルヤ、俺がいないと寂しいのか?」

 先程まで共にいたベットを抜け出し、既にスーツに着替えていたライルは、ニヤリと笑い、ハレルヤが未だ横になっているベットへと手をかけ、体重を乗せる。

「あぁ、そうだな。まだまだ足りねーよ。あんたが。」

 そう言うと、ハレルヤはベットから上半身だけを起こし、ライルの首に掛かったネクタイを引っ張ると、そのままライルの唇へと口付ける。

「ん・・ふっ・、おい。ハレルヤ。」
「なぁ、休んじまえって。」
「そんな訳にいくか。・・こら、ハレルヤ何処を・・ん。」
「ほんと、エロい顔。」

 ハレルヤはニヤリと笑い、ライルの尻を撫でるように手を這わせながら、胸を割り開こうと、そのシャツに手をかけようとするが、その手はライルによって抓られる。

「いっ・・つ。」
「いい加減にしろ。十分しただろ。」
「ちっ。」

 ふて腐れたように、ベットに再び横になったハレルヤにライルは深い溜息をつくと、彼の額にその唇を触れ合わせ、チュッと音をたてて離れる。

「っ、」
「帰ったら・・・また付き合ってやる。それまで大人しく待っていろ。」

 じゃあ行ってくるハレルヤ、そう言って、パタンと入口のドアを閉めて、仕事に出かけるライルに、ハレルヤは眉間に皺を寄せた。

「ちっ、また子供扱いかよ。」

 一応あの初め会った時から、まぁ色々とあって、恋人同士となった訳だが。この年齢差をどうしても埋める事が出来ない。いつもあいつは自分に大人を振る舞って、そして俺を振り回す。
 セックスしている時だけが、あいつより優位にたてる唯一の時間だった。
 だからハレルヤはいつでも、いつまでも、彼を、ライルを組み敷いていたい。これは子供じみた感情なのかもしれないけれど。

「本当、ガキだな。」

 ハレルヤはそんな自分に苦笑すると、顔を洗う為に、そのベットから起き上がり、自身も大学に行く身支度をし始めたのであった。

















終了




 大学生ハレルヤ×社会人ライル。


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!