#アレニル前提アレルヤ+刹那
彼と深く付き合うようになってから、僕は段々と彼に違和感を持つようになっていた彼は常に無条件に優しい。けれど思えば、それこそ彼が何処かおかしいと思う要因にもなりえた刹那に邪険に扱われながらもその手は彼に接触することを止めない。ティエリアに罵倒されながらも彼は笑いながら気遣う事を止めない
そして僕には優しく微笑みながら物腰柔らかくコミュニケーションを取ってくれていた。
それが彼の性分なのだと言われれば、なるほど納得もしよう優しいのも、常に笑顔を絶やさないのもそれ が彼の性分なのだと。
だがやはり何かがおかしいとアレルヤは感じる。
微かな違和感と感じる矛盾が。
最初に自身の想いを彼に告げた時、それこそ、その瞳を大きく見開き驚きを隠せてはいなかったけれども、
けれど彼はそれを僅かな困惑を見せながらも、拒絶すらせずに僕自身をすんなりと受入れてくれた。
その時の自分はひどく嬉しく思い、何も考えず、彼を求めてしまったけれども。
「刹那、君は何故そんなにロックオンを頑なに拒むんだい?」
ロックオンが地球での単独任務で、プトレマイオスを離れていた時、刹那にアレルヤはそんな事を尋ねた。
「彼が君に何かしたっていうなら、解るけど、してないならあまりに彼が可哀相だよ。」
「・・・・・」
刹那はピタリとその動きを止め、ゆっくりと自分へと振り返った。鋭い眼光。しかし、それは僕にではなく、今居ない彼を睨んでいるように、視線はガラスを隔て、宇宙に浮かぶ地球へと注がれていた。刹那の瞳は暫くそのまま動かない。
「せつ・・」
「アレルヤ・ハプティズム。」
彼のコードネームを口にしようとして、けれど先に自身のコードネームを彼に呼ばれる。それは淡々とした、けれどもどこかいらつきを含んだものだった。
「お前は、あれがあいつ自身だと、本気で思っているのか?」
「どういう意味だい?」
刹那の言葉に、アレルヤは常よりも厳しい声を思わず上げてしまう。
だがしかし、そんな言い方にも怯える事無く、しっかりとした声で彼は言い放った。
「少なくとも、あれは上辺でしかない。俺は・・そう思う。」
その言葉を聴いた瞬間、アレルヤは否定する事も、肯定する事も出来ず口を閉ざしてしまった。。
心当たりが有りすぎたのだ。彼は優しくもあり、けれどそれは、人によっては酷く残酷なものだ。
彼は、この先も誰にだって、そうやって心を開いてはくれないのではないかと、アレルヤはひどく悲しく思う。おそらく刹那も、そう思っているだろう。淡々とそれを自分へと告げる中、けれど確かに刹那は何処か傷ついているように見えたのだ。
「・・間違うな。アレルヤ・ハプティズム。あいつの本質を。」
「刹那。」
そうだ。ロックオンに対して、感じていた違和感。
その正体。
矛盾したその微笑みは、常に僕へと訴えていた。
それ以上は踏み込んでくるな、と。
けれどアレルヤは思うのだ。それは逆に、必死に何かを求めている自身を押さえ付けているんじゃないかって。
笑顔で僕らに壁を作る姿は、いっそ悲しいくらいに頑なで、悲しいものなんじゃないかって。
「出来るかな・・僕に?」
「・・・それは、お前の行動次第だ。」
「うん、そうだね。」
深くまで踏み込まれる事を恐れるあの人を。
自身の本音を笑顔で隠してしまうあの人を。
僕は強く抱きしめよう。
あの人が今まで僕にそうしてくれたように。
そしたらきっと・・・
きっとロックオンだって、本当の彼を僕に見せてくれるかもしれないから。
終
本音を見せないのが兄貴。
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