#ヨハニル
大丈夫なのか?こんな風に気遣われた事は今まで無かったかもしれない。言われた言葉に、最初は自分自身理解出来なく、しばらくして頭に思考が蘇ると同時に、その言葉を発したであろう人物に驚きの目線を向ける。
自身とは違う少しやけた肌と緑がかった髪は精悍さをその顔に浮きたたせ、瞳は真っ直ぐとこちらを向いていた。
一見すれば、冷たい印象を受けるそれに似合わない先程の言葉。
「・・・大丈夫も何も・・・俺はこの通りピンピンしてるが?」
「なら、先程から左肩を庇っている理由を私が聞いても支障は無いな?」
「ぐっ」
アレルヤ達には、心配をかけない用に隠していたそれは、どうやらこの男に見破られてしまったらしい。
先程の戦闘でのデュナメスがその機体ごと倒された衝撃で打ち付けてしまった左肩は、じんじんとあの時から痛みを覚えている。
肩の損傷は狙撃手である自分にとっては致命的だ。しかし、それほど深いものという訳でもない。
大仰に事をあらげるよりは、自身でこっそりと処理してしまった方が良しと考えた。
マイスターのリーダーとしてやらなければならない事があり、それが自身の義務だとも思う。リーダーが周りに迷惑をかけるなどあってはならないのだ。
「よく、お気づきで。」
「慣れている。」
「あーそうかい。それはそちらさんのリーダーとしての意見か?なら心配無用だ。後で自分でやるからな。」
そう言って、そいつに背を向け、踵を返す。奴の言葉など、その先聞きたくもなかった。
自身に気遣いなど、必要無い。俺はそういう生き方しか出来ない。気遣う事は出来る。だが気遣われ方等知らない。自分はいくらでも抱え込む事は出来る。けど誰かに寄り掛って、重荷などなりたくは無かった。
「ロックオン・ストラトス」
ふと名を呼ばれ、反対方向へと歩き出していた足を止め、振り返る。
遠ざかっていたはずの距離は、すぐにつめられ、頭にポンッとその掌を置かれた。
「・・あまり抱えすぎない方が良い時もあると、君は覚えておいた方が良い。これは年長者としての意見だ。」
そう言って、その掌を下ろすと自身の傍らを擦り抜けて、その場を去っていく。
子供扱いするなと、言いたかった筈が、それよりもなによりも、今の彼の自分に対す予想外の行動が、口を閉ざしてしまった。
「・・・てか、アレルヤ達に比べたら俺も年長者だって。」
そう言ってみるも、その乗せられた掌に心地よさを感じてしまったのは、絶対に勘違いだと。
ロックオンは自身にそう信じ込ませるしかなかった。
終
本編のヨハロク萌えにおもわず
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