#アレニル
(*23話ネタ注意。「前を見据えるその瞳」next アレルヤside)
予感はしていたんだ、あの時も。僕が何を言っても、何をしても、貴方のその固い意思は変える事なんて出来ないって。僕なんかじゃ変える事なんて出来ないって、そう分かってた。分かっていたよ。でも、解りたくなかったんだ。貴方の死を理解する事なん僕はしたくなかった。だって、伝えてない。貴方に、僕は何も伝えてない
本当に貴方は酷い人だ
僕に最期まで嘘をついた
「馬鹿ですね。」
小さな声で、ポツリとアレルヤは呟く。
ほら、泣いてるよ?
フェルトだって、貴方がいなくなって、あんなにも、強くハロを抱きしめて、泣いているよ?
女性を悲しませるなんて、貴方らしくないじゃないか。
刹那だって、何時もと変わらないように見えるけど、泣いたってはっきり解るくらい、目元が赤く染まってる。彼が泣いた事なんて見た事なかったのに。
ティエリアだって、今まであんな風になった事なんてなかったのに、貴方の死に、あんなにも感情をあらわにしてる。
他のクルーだって、貴方の死をこんなにも悲しんでいる。
「馬鹿ですよ。貴方は、本当に。」
貴方を愛している人が、こんなにもいるのに、その人達を置いていってしまうなんて。
『てめぇだって泣きたい癖に、強がってんなよアレルヤ。』
「ハレルヤ」
自身の片割れが、そう自身へと囁く。
『こんなに、中ドロドロさせやがって。気持ちわりーんだよ。さっさと吐き出しちまえ。』
「やっぱ、泣きたいのかな?」
『あぁ?』
「うん。きっと、泣きたいんだろうね本当は。けどね・・・僕は・・きっと泣かない。」
僕へ嘘をつき続けた貴方なんかの為に、泣いてなんかやらない。
僕の気持ちを伝える前に、いってしまった貴方の為になんて、泣くことなんてしない。
だってずるいじゃないか
、貴方だけ。
貴方だけ、こんな想いをしなくてすんだのだから。
「言っておけば・・・良かったのかな?」
あの時に。
最後に言葉を交わしたあの時に。
この想いを伝えていれば、あの人を繋ぎ止める事が出来たのだろうか。
「未練がましくて、嫌気がさすね。ハレルヤ。」
もう、遅い
もう戻らない
僕の手をすり抜けてあの人はいってしまった。
この世界の行く末を知らぬまま。
(なら、僕は・・・)
どうするかなんて、答はもう出ている。
アレルヤは掌をきつく握って、前を見据えた。
ねぇ、ロックオン。
こんなにも、僕の心は苦しいと訴えているのに
なんでかな
僕は戦おうとしている
貴方のいない世界に
それほど未練なんて無いのに
それでも僕は戦おうとしている
貴方の望んだ世界を僕自身の手で導く為に・・・
「だって、僕は・・・」
−僕はまだこんなにもロックオン、貴方を愛しているのだから−
終
お題配布元
http://hanauta.yukihotaru.com/
sitename>>ハナウタ
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