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前を見据えるその瞳(アレニル)*23話ネタ注意




#アレニル
(*23話ネタ注意)








「行ってきます。」

 あいつは出撃する前に、自分に向かってそう言った。利き目を負傷して、それでもなお出ようとした自分を、閉じ込めて。

「アレルヤ・・」
「ごめんなさい。ロックオン。」

 扉越しに、そう自分へと謝罪するアレルヤの声は、自分を閉じ込めた事に対する後ろめたさなど感じられなかった。

「お前」
「ロックオン、お願いだから、大人しくしていて下さい。」
「ふざけるなよ。ここを開け・・」
「今の貴方は、足手まといなんですよ。」

 突き放すようなアレルヤの台詞。
 けれどロックオンは、その声が僅かに奮えている事に気付く。

「アレルヤ?」
「・・・。」
「開けろよアレルヤ。」
「嫌・・です。」
「なぁ・・・」
「嫌です!・・・嫌だ。」
「アレルヤ。」

 あぁーもしかしたら、あいつは泣いているのかもしれない。
どうしてだなんて、多分自分のせいだ。
それなら抱きしめて、慰めてやりたい。
自分は大丈夫だと、安心させてやりたいとロックオンは思う。
元からの性分が、自分にこう思わせているのかもしれないが、でもこれは違う。
 その相手がアレルヤだから、安心させてやりたかった。
けれど、閉じられた扉にそれは遮られてしまう。

「開けて、くれないのか?」
「僕が戻ったら・・・出してあげます。」
「それまで、大人しくしてろって?」
「そうです。」

 自分からは見えないあいつの姿。お前の顔が見たい。だなんて言ってもきっとアレルヤはこの扉を開けてはくれないだろう。その意思だけは強く自分へ向けられている。その感情は、嬉しいけれど、やはり自分には重かった。

(ったく・・こいつは。)

 ロックオンはそんなアレルヤに苦笑を漏らした。

「なら、アレルヤ。」
「・・・ロックオン?」
「待っててやるから、だからさ。」
「・・・・。」
「生きて、帰ってこい。じゃないと、許さねーぞ。」
「はい。」

 力強い言葉。
きっと、アレルヤは生き残る。前を見据えて、その意思で戦って、きっと。

「ロックオン・・」
「ん?」
「いえ、なんでもありません。」
「なんだよ言えって・・」
「・・なら戻ってきたら、言いますよ。」
「・・解ったよ。」

 一枚の扉を隔てて、言われた言葉がひどく甘い。アレルヤの言いたい事。予想がついてしまって、少し笑えた。
今まで意図して互いに避けてきたこの感情は、この戦いが終われば、きっと許される気がする。

 けれど、お前のその想いを受け止めてやるには、まだ俺にはやらなければならない事がある。

「待っててやるから・・もう、行け。アレルヤ。」
「・・はい。」

だから、今は嘘をつく。
後ろを向いたままでは、前を見据えたお前とは、向き合え無い。
だから・・・俺は。
ギュっと、ロックオンは掌を握る。アレルヤが此処を離れて暫くしてから、自身の腕に抱えていたハロに向かってロックオンは口を開いた。

「ハロ・・・この扉の解除やってくれないか?」
「了解、了解。」

なぁ、アレルヤ。
お前は、馬鹿だって言うかもしれないけどさ、俺はあいつを討たないと、仇を取らないと、前に進めない。後ろを向いたまま、世界とも、そしてお前の気持ちとも向き合え無い。
だけどもし生きて帰ってこれたら、その時は俺もお前に伝えたい事かある。








「ありがとう。」そして
「俺もお前を愛してる」って。



















ニールの嘘つき


お題配布元
http://hanauta.yukihotaru.com/
sitename>>ハナウタ





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