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君と僕 1






#アレニル






 アレルヤはそれに銃口を向けた。自分の過去をこの手で清算する為に、アレルヤはその時、覚悟を決めた。人革連による非人道的な超人研究は決して許されるものでは無い。何よりもアレルヤは、自分のような人間がこれ以上生まれてく欲しくは無かったのだ。だから躊躇わない、躊躇ってはいけないと心で誓った。
しかし、いざ照準を目標へと合わせた時、アレルヤの頭に自身の同胞の声が溢れて響く。痛いよ、頭が痛い、痛いと、頭の中でその声たちが木霊している。
トリガーに添えた指先が恐怖で奮えた。固まって、動かない。アレルヤはその時思ったのだ。撃てない、と。彼らには何も罪は無いのではないか。このままアレルヤ自身があの忌まわしい超兵機関であるあの建物を撃って、破壊したとして、その時、自分の同胞の命は、それに巻き込まれ、消えてしまうだろう。僕の手で殺されてしまうのだ。そんな風に殺される理由は、何も知らない彼らには無い。アレルヤは躊躇した。だが、もう一人の自分は甘いと言う。お前は理由を何かしら付けては、自分が傷つく事から逃げ出そうとしている。先程のお前の決意は何だったのかと。何の為にここへ来たのかと。それとも、また俺になすりつけて、自分は怯え、奮えるだけなのかと。
ハレルヤの言葉が頭に響く度に、アレルヤは自分が解らなくなった。彼の言葉を否定するも、結局は自分はハレルヤの言葉を否定出来ない。まして拒否など出来よう筈もなかった。撃ちたくないよ思った。けれど、指先はしっかりとトリガーを捕らえ、目標を破壊していた。













任務後、アレルヤは真っ先に自身の部屋に向かい、ある場所へと通信を繋ぐ。どうしても今、あの人の顔が見たいと思った。こんな時、彼の笑顔が頭に過ぎるようなったのは何時からだっただろうか。ボードを素早く叩き、暫くしてスクリーンにその映像が呼び起こされる。映し出された彼の目が自身の姿を捕らえると、一瞬その瞳は見開かれ、驚きの表情を浮かべた。しかし直ぐにそれは呆れたものへと変わる。彼、ロックオン・ストラトスはアレルヤに向かって、静かにその口を開いた。



『酷い顔だな、アレルヤ。』
「そう、だね。君から見れば、酷い顔をしてるかも。」
『かもじゃないだろ。実際そうなんだって。』
「・・でも平気ですよ?」



アレルヤがそう答えると、ロックオンはその整った眉をしかめて疑わしげにこちらを見る。そういう彼の優しさがアレルヤは好きだった。



『お前の大丈夫は当てにならないんだがな。』
「ハハ、酷いなロックオン。本当に大丈夫だよ。」



アレルヤはあながち嘘ではないと思った。ロックオンの姿を見てから、先程まで荒れていたものがスッと静まっていた。まるで彼がアレルヤの精神安定剤のように。



「ロックオン」
『なんだ?』
「笑ってくれないかな?」
『は?』
「僕の為に、笑ってくれませんか?」
『なんだそれは。笑えって言われて、笑えるものじゃないだろ?』
「それもそうです。確かに。だけど見たいんだ、僕は、今、貴方の笑顔。そしたらきっと、」




幸せだと思うから。アレルヤがそう言うと、困ったように笑ったロックオンの姿を見つめながら、アレルヤもまた微笑んだ。





君が笑うと僕も笑うから










END
(ロックオンって、こういう存在だったら良い。)


●お題配布元●A.M 0:00
http://id15.fm-p.jp/8/amreije/




あきゅろす。
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