#ドロニル
「どうも感心しないね。」
「何がです?」
真夜中、互いに何も纏わぬ姿でシーツに包まる。アレハンドロ・コーナーはツッと、ロックオン・ストラトスの白い肌をその細く長い指先でなぞった。辿る鎖骨の辺りには、紅く鬱血した痕がまざまざと浮かび上がっている。
「私の、では無いだろう?」
「あ、解ります?」
「記憶力だけは良い方でね。」
アレハンドロは、薄く笑みを浮かべ、自分のものでは無い、誰のものだか解らないその所有の証に、唇を寄せ、自分のもので消すように強く肌に吸い付いた。
「つっ」
強い痛みを伴うそれに、ロックオンは生理的に声を漏らしてしまう。
まるでその痛みは、こんな自身を咎めているように感じた。
「痛いんですが、」
「軽い仕置きだよ。可愛いものだろう?」
これでも私は妬いているのだから。
そう言うアレハンドロに、ロックオンはハッと、渇いた笑みを浮かべた。
「あんたも可笑しい人だな。嫌なら命令すれば良いじゃないですか?」
自分は余程の事が無い限り、貴方に逆らう事は無いのだから。
命令されれば、自分は他の奴とは寝ないし、それこそ、そういう雰囲気になっても、頑なに拒絶するだろう。
「ロックオン。」
アレハンドロは、ロックオンの名を静かに紡ぎ、彼の耳元へと唇を近づけた。
「私は、君に傀儡になって欲しい訳では無いよ。」
その低く甘い声に、ビクリとロックオンは肩を震わせる。
この声は腰にくるよな、なんて事を冷静に思いながら。
「今でも予想外な一面を見せてくれる。そんな君を、私は気にいっているのだからね。」
「そりゃどーも。」
「まぁ、面白くは無いのだが。」
「結局、どっちなんです?」
「君自身で考えてみる事だ。」
そう言葉を紡ぎ、降りてきた唇を受け止めて、ロックオンは心内で苦笑する。
それは暗に言えば、執着を持たれてはいないという事なのか、もしくは本当にそんな自分を気にいったのかどうかはロックオンには解らなかった。
まぁ、執着を持たれても、困った事にはなるのだけれど。
だがしかし、今はこの人に抱き殺されても良いかもしれないと思うくらいは、自分はこの人を好きになっているのかもしれない。
(他の奴と寝るのは当分やめっかな。)
終
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確かに恋だった
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