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忠誠心は邪魔なだけです(ドロニル)





#ドロニル









忠誠心だなんて言葉、自分に言わせたら、ただの酔狂だ。本当は、あの人に仕えているつもりなど無い。けど、かといって逆らっている訳でも無い。あの人の傍が何故か心地良く、離れがたかった。抱きしめてくれた自分より幾分大きな腕は、マイスターのリーダーとしての立場を揺さ振る。自身が嫌悪を感じる程には、それは、だとしたらどのような感情と言えるのであろうか。







「貴方は・・・何時も何時も、用が無いのに俺を呼び過ぎですよ。俺だって忙しいんだ。考慮してくれ。」
「いや、用ならあるよ。君に遭うというとても重要な事がね。」

目の前の男がそういって、自身に本音か良く解らない言葉を紡ぐ。ロックオンは、その言葉に思わず眉間に皺を寄せた。

「メンバーにごまかして此処に来るの・・・大変なんですが?」
「・・そうだな。じゃあ今度はMs.スメラギに任務として此処に来て貰うようにと、言っておこうか。」

駆け引きのような会話を互いに交わしながら、アレハンドロは腰かけてる場所から、チョイチョイとロックオンを、自身の方へと手招きする。それに眉をしかめながらも、逆らう事なく、ロックオンは彼の座っている傍らまで足を運んだ。アレハンドロはそんなロックオンに笑みを浮かべると、彼の顎に手をかけ、その唇に自身のものを合わせる。
 ロックオンも、その振る舞いに嫌がるどころか、むしろ応えるように、始めは軽く触れ、次第に深くなっていったそれに、自身の舌を絡め合わせた。

「いきなり・・ですか。」
「時間が無いんだろう?」
「仲間との合流時間までは、三時間。移動時間差し引いて、二時間ですね。」
「充分だ。」

 アレハンドロはそう言うと、ぐいっと、ロックオンの身体を引き寄せ、執務机に彼の身体を押し倒す。些か余裕の無いような姿は常の彼にすれば珍しかった。

「珍しいですね。貴方がそんな風になるの。」
「あぁ、そうだな。お陰で寝室に行く時間すらも惜しいよ。」

 ネクタイを片手で外しながら、ロックオンの肌へともう片方の手を這わせる。服の中へと入り込んだその掌はひんやりと冷たく、思わずロックオンは声を漏らしていた。

「・っ・・で、此処でする・・と。出来れば・・後に響かない程度にしてくれません?」
「そうだね・・善処しよう。」

 −大切なガンダムマイスターを壊したくは無いからね−

 ズキンッと胸の奥に痛みが走った。この人は、なんだかんだと自分がガンダムマイスターである事を口にする。
 俺には、それしか求めていないとでも言うかのように、毎回。
 そんな自分に、彼は気付いたのだろうか、フッと笑みを浮かべて、宥めるように自身の額へと口付けた。

「気に触ったかな?」
「別に。」
「強情な君も良いが、やはり少し素直になっても私は可愛いと思うがね。」
「二十四の男に言う台詞じゃないと思いますが、Mr.コーナー?」

 皮肉るような笑みを浮かべてそう言うと同感だと、彼は笑った。

「けど俺は、貴方がそう望むなら、逆らわない。」
「・・忠義な事だな。」
「いえ、むしろこんな忠誠心邪魔なだけですよ。」

 どんなに手を伸ばしても、貴方の隣には並べそうにないからな。
 その言葉を寸前で飲み込んで、再び降りてきた唇を、ロックオンは自身のそれで受け止めた。

 −本当に、こんな忠誠心無ければ良かったのに−


















お題配布元
確かに恋だった








あきゅろす。
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