/Gsd(n) キミの名前を呼ぶだけで(キラ→カガ→アス) 「キラ…」 ふと彼女が僕の名前を呼ぶ 「何?カガリ…」 それに気付いて、僕が返事を返すけれど、彼女はジーと僕を見つめたまま何の反応も起こさない。 だから僕もその綺麗な琥珀色の瞳から目を反らせずに、沈黙したまま、二人してこうやって互いを見つめ合う。 暫くして、彼女の表情にパッと笑顔が溢れ、本当に嬉しそうに笑った。 「良かった…もう…大丈夫そうだな。」 彼女のその瞳には慈しみの愛が込められている それは嬉しい半面…けれどとても悲しい あぁ−−君は僕を弟としてしか見ていない 「うん。僕は平気だよ……でも…カガリは…参ってるみたいだね。顔色悪いよ?」 普段のそれより弱冠青白くなっている頬に、手を添え優しく撫でる。 色々な事があった。 意に無いオーブの連合との条約締結、ユーナとの政略結婚。そしてオーブ首長国代表としての重責。 まだ幼い彼女にかかる負担は、あまりにも大きい。 それに何より… 「僕なんかより、カガリの方が心配だよ。無理してるんじゃない?」 「平気だ。」 「嘘でしょ。」 「…………。」 唯一無二のキョウダイだからこそ解る …彼女は……寂しいんだって。 彼が…アスランがいないから… 本当は泣き出したいくせに… それを感じる事が出来たのは、双子だからだというのは複雑だけれど… 「余り…頑張りすぎないでよ。」 細い彼女の腰を引き寄せ、この腕で囲って、抱きしめる。 少しでもカガリを安心させるように、背中をポンポンと軽く叩いて… 「有難う…キラ。」 彼女は笑う。 嬉しそうに… けれど… 「カガリ…」 君は僕に本音を聞かせてはくれないんだね?僕の胸では泣いてくれないんだね? どうしても… 僕じゃなくて、彼じゃなきゃいけないんだね?今はザフトにいる彼じゃなきゃ… だって…君は気付いてくれない−− 「カガリ…」 あぁ−どうして− 君の名前を呼ぶだけで…こんな切ない気持ちになるんだろう? 終 お題配布元 桜雨 -Rain of Pink- ×草灯× http://id11.fm-p.jp/18/rop/ |