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その手に触れたい(レイカガ)




すぐ傍にカガリがいるはずなのに…
彼女に触れる俺の距離はまだ遠い
手を伸ばして伸ばしてやっと彼女を捕まえたつもりでも
直ぐにカガリはその姿を眩ませてしまう
彼女は俺に本当の姿を見せる事なく
何時でも笑顔を向ける
落ち込む姿も
泣く姿も
何も俺に見せないで…
そうやって笑顔の下に全ての悲しみを押し込める彼女に酷い無力感が沸き起こる

そんな彼女を見たくない
俺は…カガリの支えになりたい
せめて俺の前では泣かせてやりたい
…俺が…カガリ…お前を泣かせたい
そんな無理をして笑うくらいなら
おもいっきり……彼女を泣かせてみたい
そして俺にカガリの本当の笑顔を見せてほしい
そう…これが俺の本心だ
偽りなんかいらないから本物のカガリを…俺に…
そして本来の俺を…カガリに…

もう二人して仮面を被るのを止めよう
カガリの全てを俺にさらけ出して…
俺の全てを彼女にさらけ出す
お互い偽るのは止めようカガリ。


お願いだ…………

……俺を頼れ…カガリ。














「カガリ………何故俺に弱音を吐かない?」

誰もいなくなり、カガリと二人っきりになった途端…彼女をこの腕に囲い、強く抱き寄せる。
もう俺は既に我慢の限界を越えていた。


「ど…どうしたんだ…レイ?いつもと違うぞ?」

彼女はいつもと違うレイの雰囲気に戸惑いの声をあげる。
普段余りスキンシップを求めない彼が、いくら二人っきりとはいえ、いつ誰が来るか解らない艦内の廊下でこんな風に抱き締めてくるのは初めての事だった。
いつもは代表と呼ぶ彼がカガリと呼ぶのは、彼女を求めている時だけ。
敬語も普段の言葉使いに戻っている。


「俺の問いに答えろカガリ。…何故…一人で泣く?」

ビクンと抱きしめていたカガリの身体が跳ねる。

「泣いて無い。」

「泣いていただろう?」

「泣いて無い!!」

「……………強情だな。」


強がる彼女に溜息を一つ。
彼女の強張っている身体を安心させるかのように背中を軽く撫でる。


「泣く事を責めているわけじゃない。むしろ…カガリは泣いた方がいい。」

「……それは私に弱くなれと…言っているのか?」

「違う。人前で泣く事も大切だと言っているんだ。」


そうやって我慢して我慢して…
限界を越えても…
その弱さを他人に見せる事無くいつも笑うカガリ
俺達に心配させたくないというカガリの気持ちは解る…
だが…このままいけばいつか…
カガリが壊れる


「俺はそんなカガリを見たくない。……少しは……俺を頼れ。」


こうやって俺もカガリへの独占欲をさらけ出しているのだから…
カガリも…俺にさらけ出せ


「………レイには………敵わないな。」


小刻みに震え出した彼女を更に強く抱きしめる。
せめて彼女の癒しの時になれるように優しく。










−カガリに触れたい。もっと近くから…−











カガリ…俺は貴方の近くに立てますか?












お題配布元
桜雨 -Rain of Pink-
 ×草灯×
http://id11.fm-p.jp/18/rop/








あきゅろす。
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