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小ネタ
変わってしまった思い その後
夕日の差し込む教室。下校時間もとっくに過ぎていることから、残っているのは吾妻と輔の二人だけだった。

「輔、学校でつきまとうのはやめろ。一週間で彼女フッて男友達とつき合いだしたなんて、二重の意味でヤバいぞ」
「えー、でも事実だよ」
「事実でもまずいんだよ!」

怒鳴る吾妻に輔は申し訳なさそうに顔を伏せる。

「ごめん。僕、吾妻君をようやく手籠めにできたから、つい嬉しくて」
「手籠めって……ところでお前、あの玩具って自分で買ったのかよ?」
「そうだよ、まだまだいっぱいあるから、今度使おうね!」
「まだあるのか!?」
「うん、ディルドとかバイブつきのドリルとか。あと拘束具もいっぱいあるよ!」
「そんなもん未成年のくせに買うなよ。というかドリルなんて絶対使わないからな!」

顔を赤くして怒鳴る吾妻だが、輔は少しも意に返していないようで、他のことを考えているのか悩ましげに眉を寄せている。

「どうしたんだよ、急に思い悩んだ顔して」
「あのね、家に父さんや母さんがいたら思いっきりヤれないでしょ? だからどうしようか考えてるんだ。吾妻君と初めてした日は、旅行に行くよう色々手を回したんだけどね」
「どおりで準備がいいはずだ」
「ギターでもはじめたってことにして、部屋を防音にしてもらえないかな。でもそんなの今すぐは無理だしなあ……」
「あきらめるって選択肢はないのかよ」
「どうしようかな……あっ、そうだ!」

いいことをひらめいた、とでも言いたげに輔は顔を上げた。

「吾妻君が声を我慢してくれればいい話だね! 玩具の音は音楽でも流してればごまかせるかな」
「無理だよ、声なんか我慢できねえよ!」
「我慢できないくらい気持ちいいの?」
「そんなこと……! それは、だから……そうだけど……分かったならもっと他の方法を考えろよ!」
「吾妻君なら大丈夫だよ。自分に自信をもって!」
「そんな自信持ちたくもないっつうの!」

しばらくの間二人の間で口論が続いたが、結局のところ折り合いはついた。ほとんどが輔の思惑通りだったが。

「もう暗くなってきたね。今日は帰ろうか」
「なんか納得いかねえな」

モヤモヤとした思いを抱えながら、やけに嬉しそうな輔に手を引かれ、吾妻は教室を出ていくのだった。

終わり


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あきゅろす。
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