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魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜集いし者達〜
第1話@
 いつもと違うベッドの感触に目を覚ます。
 見慣れない場所。布団が無い、どころか枕も無いという現状に、只事でない事を直感的に察しつつ、声を出した。

「此処、は……?」

 誰に話しかけるとも無く、ただ反射的に口から出た言葉。
 ある意味お約束とも言える一言。
 しかし、その言葉に、何処かから返事が返ってきた。

「機動六課やよ」

 どうやらここは機動六課らしい。そういえば自分は今日から出向だったはず…… 
 
「──って、はぁ!?」



 一瞬のラグを置いて、夢うつつをさ迷っていた意識が、瞬間的かつ強制的に覚醒した。


 上体を起こして、そこで初めて自分がソファーに寝かされている事に気付く。同室内には、栗色の髪をした女性とその傍らに立つ桃色のポニーテールの女性。
 
 
「はやてさん、シグナムさん。……何で僕が此処にいるんですか?」

「ん?
 朝早くにシャッハが車に乗せてきたよ。」

「いや、……なんで?」 
「逃走防止の為だと。──全く、また逃げようとしてたのか」



 シグナムさんから刺さる視線。

(うわぁ、バレてたかぁ……)

 背中に気まずい汗がながれる。

「大体お前は任務の時いつもサボってばかり……騎士としての自覚が足りない! いいか、ノクテム……」
「まぁまぁシグナム。そんぐらいにしとき」

 説教モードに終止符を打ったのははやてだった。

「主、しかし……」

「これから六課のみんなに新部隊の事含めて紹介しなきゃいけないから、あんま時間もないし、な?」
 
 渋々と言ったようすで、シグナムさんが退き下がると、はやてさんはくるりとこちらの方を向いた。


「さて、ゼフィ君。まずは機動六課にようこそ。   まぁ、隊長ゆうても気楽に頼むわ」

「はぁ」

 

「はは。それにしても……」

 意外そうな顔ではやてさんがこちらをキョロキョロ見る。
 

「ゼフィ君陸士の制服持ってたんやねって思って。いっつも教会の服着てるから知らんかったわ」


「? 陸士の制服なんて持ってませんけど?」


自分の言葉にはやては唖然とした表情をつくった。 
 「いや、何でそんな顔してるんですか? 今まで陸上部隊に来たこと自体少ないのに、制服なんて持っているはずがないじゃないですか。
 大体、自分は今起きたばかり……?」

 はやてが右手を前突きだし話を遮る。


「いや、それはわかっとる。ゼフィ君が陸上部隊とあまり関わった事ないのは知っとんねん」

 「え、じゃあ……?」

 「……」
 
 返答といて返ってきたのは指差だった。
 無言で僕を指差す。厳密には僕の身体を。


その指は自分の身体を見ろと言っているのだろう。
 しかし、それが何を意味するのか自分には理解できない。

  戸惑いながらも、ゆっくりと自らの身体へ視線を落とし





 



……ゆっくりと元に戻した。











目頭を揉む。

あー、あれかな、まだ寝起きで意識がはっきりしてないのか? 幻覚を見た気がする。

さて、もう一度……



……




「はやてさんすみません、自分が危篤っぽいんで帰らせてもらいます」


「いやいやいや、いきなり意味わからへん! 後、さりげなく帰ろうとしてる!?」

「だって、幻覚が見えるんですもん。きっと身体の調子が悪いんですよ」


 もう一度視線を下げる。


 目につくのは糊のきいたワイシャツと茶色の制服


「ほら、幻覚の陸士服が見える」 

「現実! ゼフィ君それ現実や!」


「ですよね〜」


 やっぱり現実か。    となると、誰が着替えさせたんだ。自らを落ち着かせながら、頭を整理していく。

(はやてさん達は制服について知らなかった。すると、犯人はカリムさん達か?)


 
「はやてさん、カリムさん達に制服渡しました?」


「いや、渡してないで」
 

「それに、騎士カリムだったら陸士制服位持っているのでは?」

 「確かに……」


 カリムさんだったら、陸士の制服位持っているかも知れない。
 しかし疑問が一つ残る……何で?
 
 
「私に聞かれても困る……」

「何か手紙とかあらへんの?」

 ガサゴソとポケットを漁ってみる。

 左ポケット……なし。
 

 右ポケット……なし。
 

 胸ポケット……? 手をいれるとザラザラとした感触。
 引き出してみると、それは小さく折り畳まれた紙だった。


「……あった!」 

 「なんて書いてあるん?」
 
 
カリムさんがわざわざ自分を着替えさせたのだ。きっと何かしらの大きな理由があるはずだろう。


 恐る恐る、ゆっくりと紙を開く。

 辺りに奇妙な緊張がはりつめる。
 最もそれは──





“下着も替えておきました
カリム”



「ぐはっ」


──僅か数秒間で、跡形もなく砕け散ったが。











「失礼します。グリフィスです。スターズ及びライトニングスの前線メンバーを召集しま……したが……  あの、そちらの魂抜けている方は……?」


「……気にせんといてやって。プライドとか諸々の為に」


「はぁ……」

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あきゅろす。
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