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promise−Stan Aileron−


18年前
主人は、彼の考え得る範疇を超えた人間と出逢った。

スタン。
彼が主人を理解していたかどうかは定かでは無い。
ただきっと、彼にとって大切な事は、理解より、信頼だったのだろう。
彼は溢れんばかりに、主人に信頼を置き、愛していた。
彼の愛するものは世界全体だったのではないか、と思うくらいだった。

主人は、彼が嫌いだった。
厭わしくさえ思っていた筈だ。
彼が愛するもの全ても共通して嫌いだった。
自分自身も。


彼は、主人を愛し続けた。
主人は、彼と、彼の仲間に、少しずつ、心を融かしていった。
主人の心はとても穏やかで、僕は幸せだった。
主人が心を融かした2人目の人間。

きっと、
これがずっと続いて欲しい。
そう、願っていた筈だ。
或いは、僕が願っていたのかもしれない。



幸せは、正に音を立てて崩れていった。

押し寄せる水の音と、水が叩き付けられ、砕ける岩の音。

主人を助けようと絞るような声と それを止める、千年前の戦友の声。
一国の王子。
神殿の祭司。


微かな意識の端に、震えるような、主人のたったひとりの、お姉さん



主人は、どんな表情をして居たのか。
僕には、主人の心しか見えなかった。


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あきゅろす。
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