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いただきもの
存在理由
―‐俺は・・・どうして生まれてきた?

「セレス」
「! お兄ぃ・・・神子様、どうしてこのような場所に?」
セレスはいつもの様に冷たく接している。
「連れないねぇ、こうして時間作って来てやってんのに」
俺も、セレスとはいつも同じに接している。だけど・・・
「べ、別に頼んでませんわ!用がないのなら帰って下さいまし!!」
「・・・はぁ、わかったよ。」
あいつは、俺のかわりとしてここに入れられてる。 ・・・俺のせいで。
「あ。セレス、一つ報告だ。俺様に新しくハニーが出来たから〜。しいなって言う、
ハニーがv」
「あ、新しいハニー・・・?しいなって、ミズホの忍者じゃありませんか!?前別れたって・・・」
なんかセレスはすごく動揺している。・・・どうしてだ?
「今ロイド君達と旅してるから、よりが戻ったんだよ」
「・・・・・・!!」
「じゃな♪」
階段を降りながら考えていた。今のあいつの生活はどうにかならないか、と。
俺になにか出来ないのかと・・・


「セレス来たのか!?」
「ああ、『お兄さまを惑わす雌猫覚悟!』って」
驚いた。あのセレスが、わざわざ修道院から抜け出す、だなんて・・・。
「まぁ、良かったじゃないか」
しいなはイキナリそういった。
「兄を心配してわざわざ修道院から抜け出す?あんまないょ〜そんなこと」
しいなは、高く空を見上げながら言った。
「・・・なぁ、しいな」
「ん?なんだい??」
「俺・・・なんで生まれてきたのかね・・・」
「へ?」
しいなは驚いた顔をした。まぁ、当たり前の反応かもしれない。
「・・・俺・・・さ、セレスを無理させて・・・駄目な兄貴だし・・・はぁ・・・」
「な、なんなんだい?イキナリ。熱でもあるのかぃ?それとも・・・うわ!?」
「しいな・・・」
しいなは顔を真っ赤にしている。 しかも暴れ気味。
「ちちちょっ・・・ゼロ・・・!?イキナリなに抱きついてっ!!?」
「もう少し・・・このままでいさせて・・・」
・・・何言ってんだ、俺。しいなになに言おうとしてるんだ?
自分でも、わからない。
「・・・俺様が生まれてこなかったら、セレスは苦しまずにすんだんかな、って。
もし、俺様が生まれても、俺が神子じゃなかったら・・・神子として生まれて
こなかったら・・・あいつの母親も死なずにすんだ。だから・・・」
「・・・馬鹿だねぇ」
「は?」
馬鹿?俺様が!?真剣に悩んでるのに!??
「過去を引きずったままじゃ、前には進めないよ!セレスだって、心底まで恨んでる
・・・嫌いになっているわけじゃないんだ。
だから、あたしのところまで修道院を抜け出して来たんだょ。『お兄さまを惑わす
雌猫覚悟!』ってね」
「・・・・・・」
「あんたの存在理由、今はあるじゃないか!過去にとらわれんじゃないよ!!・・・あんたの母親のことも・・・サ」
しいなはそういって俺を励ましてくれた。なんか、自分のことを話しているみたいに・・・
「俺でも・・・存在理由がある・・・か。本当にそう思うか・・・?」
「あぁ!絶対あるよ!絶対!!」
「・・・くくっ・・・」
「なっ!なんで笑うんだよ!!あたしはほんとのこと言っただけだょ!?」
しいなといると安らげる。安心して、本音が言える。
「サンキューな」
「・・・」
「みんなのところに戻ろうぜ。俺様、結構心配性なんだぜ〜 俺様が居なくても
大丈夫か、ってな」
「・・・セレスのところ、行きなよ」
「へ?」
「行って、本音をぶつけてこい!」
そういって、背中をバンッと叩かれた。・・・痛いんですけど・・・しいなちゃん。
「・・・いや、行かねぇよ。」
「どうしてだぃ?言ったほうが誤解もとけるだろうし」
――もう誤解はない。今は―・・・
「大丈夫だって〜 セレスは強いやつだから」
俺様と違って、心が強い。だから大丈夫だ。
「ところでしいなちゃん。今度二人でタンデムしない?」
「んなっ!?イキナリなんだぃ!?」


この話はここで断ち切りだ。
 こういう話で誤魔化せば、しいなはこれ以上追求はしてこない。
しいなはまだ顔を真っ赤にしている。さっきと同じように。

「しいな」
「え・・・?」
「ありがとな」

きょとんとした顔だ。これはこれで面白い。
「な、なんだぃ。」
「別になんでも♪」



これから俺は、どうなるかわからない。でも・・・


素直に、生きていけたらいいなとは思う。


しいなやセレス、そして、ロイド君達と一緒に。









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