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物書き
You know(Dグレ)
あれ・・ここはどこだろう・・
こわれた建物ばかりが続いてる。ここはどこ?
僕は研究室にいたんじゃなかったのか?
足下が水だ・・。
でもおかしい。空に浮かぶ月は白いのに、
水に浮かぶ月は黒い。
水が赤くなってる・・。だれか死んでるのか?
濃い。赤い水だ。
ちかいな・・。
黒い服。胸元のローズクロス。
教団のものか・・・。可哀想に。こんな所で一人で。
水からひきあげてやる。
長く黒く伸びる髪。長く伸びる手、黒いブーツに覆われた足。
まさか。震える手で、顔もとの血水を拭ってやる。
生前は美しく艶やかであった唇。白い頬。そして二度と開かれることの無い
綴じられた瞼。
「リナリー・・!」
死んでしまっ、た。いつかこうなるだろうと、おもってはいた。
神の使徒の役目を、その重大性を知ったときから。
「リナリー・・」
なにもしてやれ
なかった。兄として。たった一人の身内として。
「リナリー・リーを、甦らせてあげましょうカ?」
「リナリーを・・・」
「そゥ、アナタの大切なその人ヲ。」
とてつもなく大きな黒いシルクハット。
人間とは思えない丸メガネをした顔立ち。
そうか、これが・・・
「千年伯爵・・・千年・・公・・・」
「私の名を知っているのですカ?そうですカその胸の十字架・・アナタ、
黒の教団の人ですネ?」
「あぁ・・・」
「どうしますカ?神の使徒と呼ばれたアナタたチ。神を裏切ってリナリー・リー、
アナタの唯一の身内と呼べるニンゲンを呼び戻しますカ?
それともこのままリナリー・リーを見捨てテ兄妹二人、未来永劫
悲しみといウ地獄を彷徨い歩きますカ?コムイ・リー」
「僕は・・・」
リナリー・・・
「リナリー・リーを・・・」
もう一度あいたい。もういちど。この目で。

「あ・・・」
ここはどこ。そうだ。ここは僕の研究室。
いつのまにか、眠っていた。
「くそっ・・・・・!」
科学班室長ともあろうものが。なさけない。
たとえ夢の中であろうとも、死んだものを生き返らせるなんて。
ましてや千年伯爵の手で。
隊員達の遺体は故郷へ、恋人へ、親しい人へ、家族へと、
返さないときめたのは僕自身なのに。
いつだれが、だれをアクマにするなんて、限られたもんじゃない。
リナリー、ラビ、アレン君、神田・・・みんな
身内と、呼べるものがいない。だからやっとできた仲間を、
呼び戻す・・きっと。


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