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ひな祭り
(ひな祭り拍手小説)
昔から女の子が羨ましかった。
可愛い格好ができて、ぬいぐるみも周りを気にせず買えるから。
だから僕はこの日が嫌いだった。
3月3日ひな祭り。
女の子の節句。
可愛い雛人形、綺麗な桃の花。
何もかもが羨ましかった。
だから、こんな僕を受け入れてくれる人が居るなんて思わなかった。
お雛様を羨ましそうに見ていた僕に、君が折り紙で折ったお雛様をくれた事は絶対に忘れない。
その時からだったかな、君が僕に話しかけてくれる様になったのは。
それから10年後に君と付き合う事になるのは、その時は考えてもなかったけど。
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「どうした?」
ショーウィンドウに飾られた折り紙のお雛様を見ていると、彼が話しかけてきた。
「んー?思い出しただけ。」
「何を?」
「初めて話した時、くれたよね。折り紙のお雛様。」
「そうだっけ?」
「そう。20年前の今日。」
「良く覚えてんな。」
「覚えてるよ。」
だって、あんなに素敵な思い出だから。
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