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あまい、あまい
(バレンタイン拍手小説)
今日俺がチョコレートを持っているのは、決してバレンタインだからとかじゃなく、あいつが好きなチョコが安かったから。
きっとこのチョコが安かったのはバレンタインだからなのはわかっている。
だけど、こう自分に言い聞かせないとアイツに俺の気持ちが気づかれてしまいそうで。
きっと俺の気持ちを知ったらアイツに気持ち悪がられる。
絶対にこの幼馴染という関係を壊したくない。
だから、だから……
ーーガラ
!
やばいっアイツが来た
どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう
いつも通りに。普通に。
「…何してんの?」
椅子に向かってひたすらどうしようと呟く俺にアイツが声を掛けて来た。
「や、?べ、別にぃ?」
やばい、今のは絶対変だったっ
変に思われる、絶対バレる、気づかれる!!!
「そ「ち、違くてこのチョコは決してお前の為に買った訳ではなくて、偶然安かったチョコがお前の好きなチョコだっただけだから!このチョコお前にやるよ!べ、別にバレンタインデーとか意識してないんだからな!!」
よっしゃ言い切った!
「あぁ、ありがと、」
「それじゃ!」
逃げ切れ俺!
教室のドアに手をかけようとしたとき、突然腕を掴まれた。
「とか言うと思ってんの?」
「ぇ………」
なんで引き止めんだよっ
「このチョコわざわざ買ってくれたのか?」
「ちがっ…」
「嘘付け。化粧臭いのが嫌いなお前がわざわざそんな女ばっかの場所に行くかっつーの」
なんでバレてんだよぉ!!
「で、このチョコそういう意味と捉えて言い訳?」
「………はっ」
「もしそういう意味なら、よろしくお願いしますっつー事で」
何言ってんの?
頭がついていかない。
顔が熱い。
フラフラする。
あ、やばい倒れる……
「え、ちょっおい!」
意識が遠のく中視界に入ったのは、慌てるお前の顔。
それを見て、これは夢じゃないとわかった。
俺今、すっごい幸せ。
…end
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