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小説(短編)
★mosquito(絳攸×楸瑛)
「え…」

一瞬見えたそれに絳攸は硬直した。

なんで…疑問が駆け抜ける。彼の視線は一人の青年に。

双花菖蒲の片割れの首筋に注がれていた。

自分の腐れ縁かつ同僚で…ついでに恋人でもある楸瑛の…。

自分がつけた覚えのない…紅い痕。

そもそも、房事において自分が主導権を握ること自体が少ないのだが…それでも、彼との一夜なら鮮明に思い出せる。

自分でないとするのなら…では…誰が?

言い知れぬ不快感とどす黒い感情に、絳攸は唇を噛み締めた。

「どうしたの?」

気付けば、心配そうにこちらを眺めている楸瑛がいて。

近付いたことでその痕がはっきりと見えて…。



限界、だった。



ぐっと乱暴に楸瑛の手を掴むと強引に引っ張る。

そのまま仮眠室へと連れ込んで、寝台へと放り出した。

「ちょっ絳攸?」

驚く楸瑛を無視して、上から覆いかぶさった。

「ど…どうした…の?」

「お前…俺が好きか?」

「な、何いきなり///」

頬を染める楸瑛にいつもなら可愛いと思うのだろうが、今は苛立ちが増した。

「いいから、答えろ」

いいながら、乱暴に衣を肌蹴させた。

「そんなっ…あっ、こうゆっ」

滑らかな肌に手を滑らせて、胸の飾りに触れる。

「なんでっあんっ」

可愛らしい声にゆるく微笑んで、下に手を伸ばした。

性急すぎる動きに楸瑛は付いていけないようだ。

「まって…ど、してっ」

「嫌か?」

耳元で低く囁けば、びくりと体が震える。

だてに何度も肌を重ねたわけじゃない。楸瑛の感じるところなら熟知している。

「ふ…あぁ」

いつもはそう簡単に聞けない甘い声に絳攸の熱が上がるのは早かった。

前を弄って、後ろを溶かす。

その間に胸の飾りを吸って。

「やぁああっ」

三箇所を同時に攻められて、楸瑛から切なげな声が漏れる。

「も、こ、ゆぅっ」

甘い楸瑛の声に誘われて、一気に突き入れた。

「っあああああああああああっ」

途端、弓なりに反る体。

綺麗な裸体が跳ねる様を存分に堪能して、更に腰を進めた。
「ふぁ…ああっ…んっ、こ、ゆう…こう、ゆっ」

途切れ途切れの声が名を呼んで…。それが更なる快感になる。

「楸瑛」

いつもと違う状況は簡単に絳攸を高ぶらせた。

限りなく攻め立てながら、目の前の首筋を眺めた。

薄紅色に染まった体に色を濃くして残る…華。

絳攸はそこに思いっきり吸い付いた。

「ああああっ」

体勢が僅かに変わったせいで楸瑛の口から悲鳴じみた声が上がる。

その様を見やってから、絳攸は楸瑛のナカを蹂躙する。
「あんっああっこ、ゆぅも、だめぇ」

激しい動きに楸瑛が限界と首を振る。

「イケ」

低い声に促されて



「やあああああああああああああっ」



楸瑛は達した。



「っ…お前は…俺のだ。…誰にも…渡さない」

ナカに熱いものを注ぎ込みながら、絳攸は呟いた。











「………どうして、いきなり?」

正気に戻った楸瑛に問い詰められて、絳攸は目をそらした。

「いや…その…」

「言えないような理由で、私は君に抱かれたわけ?勤務時間中に」

冷たい声は楸瑛の怒りを表しているようで、絳攸は何も言えなくなる。

「絳攸?」

そんな態度に何を思ったのか、楸瑛は顔を曇らせた。

「私は…何か、君を怒らせるようなことをした?」

沈んだ声音に絳攸は慌てた。

「ちがっ」「好きか…なんて、当たり前のことを聞くし…」

「そうじゃないっ楸瑛」
俯く楸瑛に絳攸は見も世もなく叫んだ。

「お前の首にっ痕があったからっ」
「え?」

突然の発言に楸瑛は目を丸くした。

「だから、お前のその…首筋に、だな…その…情事の…痕が…だから…」

「浮気してるって思ったの?」

「違うっただ…お前は、俺のなのに…他の奴が触ったかと思ったら」

「腹が立った?」

楸瑛の質問に絳攸は目線を下げる。

「絳攸…嫉妬、してくれたの?」

弾んだ楸瑛の声に絳攸は真っ赤になった。

「そのっあの、え…と、う、疑ってるわけじゃ」

「うん、わかってる」

「ただ、その」
「うんっ」

しどろもどろに弁解する絳攸に楸瑛は笑った。

「楸瑛…」

「ふふっ積極的な絳攸も素敵だったよ」
「ば、ばかっ」

くすくすと笑う楸瑛を黙らせることに必死な絳攸は結局その痕がなんなのかを聞けなかった。





当然、

(こんな絳攸見れるのなら、たまには蚊に刺されてもいいかな)

などと楸瑛が思っていたことなんて、



知らない。





はい、こんばんは真です。
お久しぶりの更新も相変わらず…えrです…。
真は気を抜くと裏しか書けない人種なのではと最近まじめに思います(そんな人種いねぇっ)
これは実は某絵茶で書かせていただいたものなのでご存知の方もいらっしゃるかも知れません。
えっとキーワードは「蚊」です(笑)
最後まで読んでいただきありがとうございました。
もしよろしければ、感想等いただけたらなと思います。
それでは失礼致します。
真 拝

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