小説(短編) それぞれの(絳攸、龍蓮、楸瑛。三つ巴?) それは、他の誰かから見たら、とても単純なことなのに… 当人たちにとっては、ひどく難解な…。 ―それぞれの― ―李絳攸の場合― (なんなんだっ) なんだ、なんだ、何なんだっ それが、李絳攸が宮城を邁進しながら考えていることだった。 彼の足は目的地とはかけ離れたところに向かっているが、そんなことは気にも留めない(気付いていないともいう。)。 その脳裏に浮かぶのは、昨夜の情景。 昨日、宮城で酒を呑んだ後、楸瑛の邸で呑みなおそうということで向かった先にいた人物。 奇天烈変人、奇想天外な楸瑛の弟―藍龍蓮。 あの時、楸瑛は「何しているんだい」と呆れながらも、優しく笑っていた。 龍蓮が視界に入った瞬間、自分など眼中にないようで…。 たまらなく、不快になった。 だから、適当な理由をつけて、その場を辞した。 あのまま、あそこにいれば… ―何をするか、わからなかった。 (って、なんだ、それは…) ふっと頭を過ぎった言葉に、絳攸の足は止まった。 何をするか、わからなかった? 一体、誰に? 一体… ―あのしなやかな体を押し倒して… ―快感で歪む顔を間近で見て… 湧き上がってきた、訳のわからない衝動に、絳攸はぞっとした。 なんで…。 「っっあれもこれも全部、あの常春のせいだ!!」 自分の中の欲求を無理矢理押さえ込んで、絳攸は叫んだ。 気付きかけたその想いに蓋をして…。 彼が、それを自覚するのは…また先の話。 ―龍蓮の場合― (まったく、鈍いにもほどがある) それが、昨日相対した兄とその腐れ縁的友人を見た、龍蓮の感想だった。 兄は確かにまったく気付いていないのだろうが…。 あの青年も、自身の気持ちに蓋をしているようだ。 楸瑛の目が龍蓮に向けられた時。 あれだけ嫌な顔をしたくせに…。 まあ、気付かぬというのなら好都合だ。 あそこまで近くにいながら、何もしないほうが悪い。 龍蓮に、遠慮する理由などないのだから…。 生憎だが、引く気はない。 「楸兄上は、私が貰う」 それは、龍蓮の本心だった。 ―楸瑛の場合― (一体、どうしたんだろう?) それが、弟の突発的な行動と絳攸の突然の帰還に楸瑛が思ったことだった。 まあ、弟が突発的なのは別にいい。 いつものことだから。 でも、なぜ絳攸は帰るなどと行ったのか? 龍蓮が居たからか? いやしかし、絳攸は一度した約束を破るような人間じゃないし。 それに、龍蓮だってなぜあんなところに居たのだろうか? 自分を待っていた? いやいや、待っているなら室の中で充分だ。 結局、楸瑛の疑問に浮かんだ答えはすぐに打ち消されて…。 「本当に、どうしたんだろう?」 それが、己への好意にまったく気が付かない 鈍感な楸瑛の、感想だった。 こんにちは、真です。 三つ巴は無理…といいつつ、こんなものを書いてみました。 所要時間30分?いや、そんなにかかってないのか? う〜ん、結局自分の気持ちに気付いているのは龍蓮だけなので、きっと勝者も龍蓮だと思います。 タイトルは「それぞれの」 まあ、想いだったり葛藤だったり疑問だったりします。 ありえないほどの駄文ですが、よろしければ受け取ってくださいませ。 え?えr?何言っているんですか? 真はそんなもの書けませんよ(オイオイ) エロ大魔神なんかじゃありませんから〜(脱兎) 真 拝 [前へ][次へ] |