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文など
じゅんばん
どこかで誰かが泣いている






ボクはそれがとても気になった



ただ、それがどこかなんて探さなくても


何処で泣いているのか
どうして泣いているのか
誰が泣いているのか




それはすぐに判った





それはこの町には珍しい緑色をした地面の石がいっぱいあるところで
真っ黒な服を着て立ってるヒトが
何か箱みたいなものにしがみついているヒトが
何かを支えるように抱き合ってるヒトが
少しのヒトたちが泣いていた


泣いていない子も居た
きっとボクと同じぐらいか、少し上かな?


その子は糸が切れた人形みたいだった
真っ黒な・・・
雨も降らないのに真っ黒な空を見上げていた
頬に何かの跡があるけどそれが何かまでは判らなかった



「気になるのか?」


声をかけてきたのはボクの横で立ってるにぃにだった
きっと、ボクがあまりに熱心に見ていたから不思議に思ったのかもしれない


「うん」


ボクは正直に答えた
嘘をつく理由もないから僕はそう答えた


「どうする?」


にぃにはボクの行動を強制しようとはしない
どんな小さい興味でもにぃにはボクのしたい事を聞いていくる
だから


「あそこに行きたい」


ボクはそう言った
後から考えると『フキンシン』だったのかもしれない
でも、ボクはとても気になった


「いいよ」


笑顔でそう言って
にぃには歩き出した


ボクたちはその箱の近くにまで歩いてきた
その箱はボクが思ってたよりも小さくて
前にもよくにた感じの箱を見たことがあるけど
その半分もないように思えた


「初めまして、ボクも祈ってもいいかな?
 この子のために」


にぃにはそう言った
すると、箱の上でうずくまっていたおばさんが少しだけ笑って


「ありがとうございます」


って言った
何でおばさんは笑ったんだろう?
何でありがとうございますって言ったんだろう?
おばさんはボクたちに花を数本くれた


ボクは何も言えず
ただ、にぃにの後を追いかけた


にぃにはよく判らない言葉を言い始めた
きっとボクの知らない言葉
ボクの知らないとっても古い言葉


ボクは少し背伸びをして箱の中を覗いた
その中には


右足のない子が寝てた
きっとこの町の大半飲み込んでる呪の中の魔物に食べられたんだろう
そういう事件は少なくない

それよりもボクは気になったことがあった


「ねぇ、にぃに…」


「なんだい?」






「あのね」

















「ボクより小さな子でも死ぬことあるんやね」















ボクは箱の中に花を入れた




「ボクは右腕もなくて右目もなくてあまり背中の羽(飾り)がなかったらきちんと歩けないのに」




にぃにはボクをじっと見てた


「この子は本当はきちんと足があってボクと違って欠けてるところはないのに」





「逃げてる時に転んだのかな?」




おばさんはきっと泣いてる




「神様は」






その時













「どうやって命の順番決めてるのかな?」
























にぃには悲しい顔をしてたんだ


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あきゅろす。
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