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戻るべき場所



ウロボロスとの戦いが終わり、俺達はそれぞれの世界へ帰る帰路が取られた。
俺の元いたところに戻るか、イデアが用意してくれた場所に戻るか。
俺には考える時間が必要だった。
甲板に出て、外の風に当たっていると俺が書いたそよ風、という比喩とは少し違った風が俺の耳に吹き渡った。



「ねぇ、リングアベル、どうするの?」

イデアは、俺の隣で風に当たりながら聞いた。
少し寂しそうに見えたのは気のせいか。



「俺は…君のそばにいたい」

「じゃ、じゃあ、私の世界で…!」

「でも、それは出来ない」


嬉しそうに笑ったイデアは寂しそうに、寂しそうにこちらを見ていた。
悲しい顔をさせたくなくて俺は笑った。




「どうして!?リングアベルは私の世界のアナゼルとして居場所があるんだよ!?」

「そんなことしたら君の世界の俺がかわいそうだろ?」

「でも…私の世界のアナゼルは…」

イデアは、涙をこらえながら、震えた拳を隠していた。
ああ、愛しいイデアにこんな思いをさせるなんて、なんて馬鹿な男なんだろうな、アナゼル、いや俺は。
イデアのその綿毛のように柔らかい髪を撫でると、照れたように顔を赤くしていた。


「きっと俺は生きてるさ。それに、俺は俺の世界のイデアを…守らなきゃ、な」

「そっか…」


イデアは納得したかのように、優しく優しく微笑んだ。
やはり、イデアは笑顔が似合う。
くる、と周り、イデアは言った。


「今度こそ私を守らないと、許さないからね」

「ああ」

「でも、ね、私、アナゼルとしてじゃなく、リングアベルのこと……ううんなんでもない」


そう伝えイデアはアニエス達の元へ走って行った。
さて、俺もそろそろ行かなきゃな。


「俺も、俺の世界のイデアと同じくらい、イデアの事が好きだった、でもそれは君の世界の俺に譲ろう」



そして俺達は戻るべき場所へ戻った。






再び自分の戻るべき場所へ戻ったイデアは、元の場所へ戻ったグランシップの甲板で風に当たっていた。


「リングアベル、また、会えるよね」


そう呟いたイデアは白く凛と咲いた花を、リングアベルがいた場所へと、唇を落とし花を贈った。
イデアは泣きそうになるのをこらえていると。

「イデア…!」

その懐かしい声は、優しくイデアの名を呼んだ。

「アナゼル…!」









イデアを守る為、戻りたい過去へ戻ったリングアベルは、暗黒騎士の鎧を身にまとい、愛する者を守る為に立ち上がった。
その場所にはエアリーによってじわじわと体力を失われていくイデアがいた。
イデアは助太刀に来た者の名前を叫んだ。

「暗黒騎士アナゼル・ディー…!」

「俺の名は暗黒騎士アナゼル・ディー!今度こそ守ってみせる!」



エアリーとの戦いの中でリングアベルは心に誓った。


(今度こそ、守ってみせる!そして、イデア、君の事は忘れない)


その甲板には白い花が落ちていた。






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初リンイデ+アナイデ



きっとリングアベルはイデアを守れたと思うよ




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