だいすきです。
あれはいつだったか。
めんまと二人で遊んでたときだっけ。
花で冠を作っていた、めんまがふわりと笑った。
『できたぁ!じんたんのお花のかんむり!』
はい、と俺の頭に手作りのいい香りのする花の冠がのせられた。
『めんまね、こーんなふうにきれいなかんむりつけてけっこんしきしたいなぁ』
『け、けっこん?』
誰と?なんて聞けない。
だってもし、他の知らないやつの名前が出てきたら傷つくのは自分だから。
そんな人の気も知らずにめんまは笑う。
『うん!めんまね、まっしろいドレスきて、けっこんしきしたい!』
『そっか、ならおれがめんまのあいてしよっかな』
思わずぽろりと口から零れた言葉に子供ながらに恥ずかしさと本気がまじっていた。
めんまは、ぱあっと一際嬉しそうに、嬉しそうに笑う。
『うん!やくそくだよ!』
『ああ!』
指切りをして目が合うと、どちらからでもなく自然に笑い合った。
めんまはその何週間かあとにこの世から消えた。
でも、めんまは今。
「じんたん!みてみて〜っお花だぁ!」
まだこの世にいる。
まるで生きているかのようにはしゃぐ少女。
けれども彼女は生きていないのだ。
ぼーっとしていると、頭に花の冠をのせためんまが俺の頭に冠を乗せようとしていた。
めんまから受け取り頭に乗せると、じんたんおっきいなぁ、とめんまは背伸びをする。
(あの日を思い出すな…)
あの、めんまから花の冠をもらった日を。
突然めんまが悲しそうに、でも笑いながら口を開く。
「ね、じんたん覚えてる?結婚式したいってめんまが言ったこと」
「ああ…」
そう答えるとめんまはふわりと、悲しげに言葉を漏らす。
「こんな風にちゃあんと大きくなれてたらめんま、じんたんのお嫁さんになってたかな」
突然の言葉に何も言うことが出来なかった。
あまりにも、めんまが苦しそうだったから、何も言えなかった。
「めんま、じんたんのお嫁さんになりたかったな…」
ぽろぽろと綺麗な瞳から雨が落ちる。
生きたかった、みんなといっしょにいたかった、お嫁さんになりたかった。
そんな気持ちが伝わってきて、胸が締めつけられる。
気がついたときには、めんまを腕の中に閉じこめていた。
「めんま、結婚式しようか」
「え?」
めんまは涙で赤くなった瞳を向け、首を傾げている。
「俺はめんまをずっと大好きだと、誓います」
めんまを見るとまた、ぶわっと泣き出した。
「めん、ま、も、じんたんのことずっと大好きって誓う、っ」
泣き出すめんまを撫でると、あの花の香りがした。
『じんたん、だいすきです。』
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初あの花
じんめん
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