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嫌いの反対の気持ち


突然だが、俺はアーサーに恋をしている。
目が合うだけで、一緒にいるだけでどきどきと胸が高鳴るのだ。
あの髪も、エメラルドのような瞳も、皮肉な性格も、声も、特徴的な眉毛もすべてが好きだ。
最初は気のせいだと思っていたが、この胸が高鳴り、恋だ、と知らせた。


今もこうして隣を歩いているだけでどきどきする。
今日は会議がイギリスで行われるので、会議の時間まで散歩に誘ったのだ。


「べつにお前に誘われて嬉しいわけじゃないんだからな!」
勘違いするなよ!と頬を染めるアーサーに少し笑ってしまった。

「お、俺だって好きで誘ったわけじゃないんだぞ!」
そう返すとアーサーはばかぁ!といつも通りの返事。
おかしくてくすくす笑っていると街の女性達がアーサーの魅力に惹かれ、素敵、とかカッコイいとか囁く声が聞こえ、少し胸に霧がかかる。

(あんまりアーサーを見ないでよ)


アーサーは、紳士的で優しくて、女性達が釘づけになるのも分からなくもない。
彼をとられてしまうのではないか、そんな不安に包まれてしまうから嫌なのだ。
うーん、と眉を寄せているとどうした?とアーサーが顔をみてくる。
べつに、とぶっきらぼうに返し、振り払うように会議に行くぞ!と足を進めた。



会議も終わり、アーサーとパブで飲むことになった。
珍しく、アーサーはあまり飲まずに俺が変わりに沢山飲んでいた。
しばらく飲んでいると、女性達がアーサーに目を付け寄って来た。
べたべたとアーサーにくっつく女達。
なんだか、イライラする。
隣で酒を飲んでいると、女がアーサーに聞く。

「なんだかあなたたち恋人みたいよね、もしかしてつき合ってるの?」
その質問にドキリとして、また酒を飲んで胸の高鳴りを隠す。
しかし。


「あ?こいつはただの、元弟だ」
アーサーの言葉が硝子のように突き刺さった。
そうよねと笑う女達の声が遠くに聞こえる。
ああ、そりゃそうだよね。
分かってたよ。
そう考える中、目から何かが溢れそうになり、駆けだした。
アーサーが呼ぶ声が聞こえるが、止まらずに走り続ける。
行く場所もなく、飲みすぎたせいで酔いが回って来た。
ちょうどアーサーの家が近く、彼の家の倉庫に身を隠した。
わかっていたことだけど、胸が痛くてたまらない。
酔いのせいか、涙がぼろぼろ溢れて止まらない。
おまけにぼーっとしてきた。
このまま寝ちゃおうかな。そう思ってると、思いきり、倉庫のドアが開いた。

「アル!お前いきなり居なくなるなよ!」
なんで泣いてんだと聞かれ、何だかむかむかした。


「ふん!君なんかあの美人さんたちとのんでればいいだろ…ぐす」
そっぽを向くと、アーサーは申し訳無さそうに言った。

「悪かった」

「…なんのことだい」

「お前のことただの元弟なんて言って」

「べつにそのとおりだろっ」
関わらないでくれと言うと、アーサーに、ふわっと抱きしめられた。
訳が分からず離れてくれ!というとアーサーが真剣に呟く。


「本当は弟なんて思ってない、俺はお前の事が大切なんだ愛してるんだ」
驚きを隠せず、動揺する。

「だって女の人に元弟って…」

「ああしか言えないだろ」

「お、俺は君なんか嫌いだぞ!」

「じゃあなんで泣いてんだよ」

「これは汗だよ!」

「いや汗どんだけ目から出てんだよ」
混乱して、訳のわからない事を言ったり、嫌いと言い、俺は泣いた。
そんなこと有り得ない。
そう思う俺に対し胸は高鳴っていく。


「君なんか愛してなんかな…っ…ん」
優しく、優しく、唇を奪われた。
あまりの優しさに涙がまたでた。

「これで俺の気持ち分かっただろ?」
エメラルドの瞳に見つめられ、顔が熱くなる。
わかんなかったならもう一度、と顔を近づけるアーサーに、真っ赤になりつつ、胸はきゅんとしていた。
ああ、嘘じゃなかったんだ。
目を閉じ、アーサーの気持ちを受け止める。





(彼への気持ちは)

(嫌いの反対の気持ち)



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ひさしぶりに英米書いた

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あきゅろす。
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