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貴方に贈る花



赤いチューリップの花言葉は『愛の告白』だ。
愛の告白をするなんて本当に勇気がいる。


私には、想いを寄せている人がいる。
いつもピアノを弾いていて、まるでピアノが彼の気持ちを表しているかのように綺麗で。
時々照れたように笑う姿にときめいて。
傍にいると幸せになれる。





そんな彼に私は惹かれている。
いつも話などはしているけれど、一回も告白らしいものはしたことがない。
遠回しに言ったりしたが気付かれた事がない。
そもそも彼は鈍感なのだ。
どう見ても貴方が好きです、とわかりやすいようにしても首を傾げたり、どうしたのですか?と心配されてしまう。




「はぁ……どうしたらいいのかしら」
溜息を付き明るく晴れた空を見る。
見ると小鳥が二匹。
仲良く歌いながら幸せそうに戯れている。


「うらやましいなぁ」
私もああなれたらな、とまた溜息。
ふと、下を見ると。
花壇には綺麗に並んだチューリップが。
綺麗!と思わず外に出た。
チューリップは赤・白・黄と風に揺れている。




「まぁ、可愛いわね!ローデリヒさんにも見せたいなぁ」
確かチューリップの花言葉は、赤は愛の告白、白は失恋、黄は実らぬ恋。
うん、白と黄は渡したくないな。


「よし、赤にしよ」
一輪摘み取りローデリヒさんの元へ急いで走った。
喜んでくれるといいなぁ。
そう思いながらローデリヒさんの家に着いた。廊下を歩いていると、聞き慣れたピアノの音色。


静かに入るとローデリヒさんがいた。
あまりにも素敵で見とれてしまう。
暫くしてピアノの音色が止まった。


「おや?エリザベータ、どうしたのですか?」
そう聞かれ真っ赤になりながら答える。


「あ、あの、チューリップ綺麗だったから見せたくて」
どうぞ!と、チューリップを渡すとローデリヒさんは微笑んだ。
よかった喜んでくれて。
ほっとして胸を撫で下ろしていると、ローデリヒさんはちょっと待っててくださいと一言。



待っていると。
ローデリヒさんは真っ赤な薔薇を一輪持ってきた。


「私も貴方にこれを渡したかったんです」
どうですか?と聞かれ照れながら受けとった。






本当に綺麗だなぁ。
家に帰ってから暫くずっと眺めていた。


ふと、薔薇の花言葉は?と調べてみると。



嬉しいような恥ずかしいような言葉が出てきた。





真っ赤な薔薇の花言葉は『私は貴方を愛しています。』







これってローデリヒさん、意味分かってて渡したのかしら…
そうだったら…と頬が熱くなるのを感じた。


でもいつか、本当に告白するんだ、と薔薇に微笑む。





「エリザベータ、気付いてくれましたかね…」




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初墺洪
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