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向日葵



エアリスは花が好きだ。
きっと、花もエアリスの事が好きなんだろう。
エアリスが木漏れ日のような笑顔でふわりと、優しく花に声をかけると花は嬉しそうに風に揺れる。
そんな光景を見ていると自然と自分でもわかるくらいに笑みが零れた。
ふ、と視線に気付いたのかエアリスはさっき花に向けていた笑顔をこちらに向けてきた。
ふいに照れくさくなり顔を逸らすと、クスクス、と笑われた。


「ね、クラウド、さっき笑ってたよ、ね?」

「そんなことない」

「ふぅん」


エアリスはまた、クスクスと可笑しそうに、でも嬉しそうに俺を見ていた。
バレていた事が恥ずかしくてしょうがない。
まさか自分が彼女を見て笑っていたのがバレていたなんて。
本当にエアリスは周りの事をよく見ているのだろう、そうとも思った。
誰にでも、どんなときでも、気づかいを忘れない、エアリスはそれを難なくしていた。
そんな干渉に浸っていると、エアリスが口を開いた。



「でも、クラウドの笑顔、見れて嬉しい」



そう言い、微笑んだエアリスは本当に本当に、嬉しそうに、笑った。
ああ、きっと俺は彼女のこの優しさに惹かれているのだろう、そう感じた。



「俺も……エアリスが嬉しいなら嬉しい」

「ふふ、ありがと。」


そう言い、エアリスは空を見上げる。
そしてどこまでも青く広がる空に向かって、大きく、大きく手を広げた。


「空、やっぱり届かないなぁ」

「……どうした?」

ふと、悲しそうに呟いた彼女は苦笑いをしながら、口を開く。
その瞳は、まるで誰かを思い出しているような、そんな色をしていた。


「昔ね、大好きだった空がずっとそばにいてくれると、思ってたの」

「空…」

「でもね、その空、ある日から真っ暗になって、いきなり見えなくなっちゃった。」


その日からずっと泣いてたんだ、と明るく笑う彼女は、どこか寂しそうに、虚しそうに、微笑んだ。
エアリスの悲しみに触れ、思わず口が開いていた。



「空はどこまでも続いてる。晴れないときはない。だから、……もう、泣くな、笑顔が、好き、なんだ」


「ありがとう、クラウド」


そう言い、俺を見つめたエアリスは、空に掛かった雲を振り払うかのように笑った。
まるで。





『クラウドも、笑顔、見せて、ね?』




届かない空へ真っ直ぐに花びらを開かせる向日葵のようだった。




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クラエア


最近更新出来てなくてすみません
クラエアはエアリスがクラウドを引っ張る感じが好きです

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