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夏のアルバム
※学パロ




授業終了の合図が鳴り、生徒達がそれぞれ帰り始める。
その中を自分のクラスから隣のクラスで移動する少女が一人。
長く綺麗な黒髪を揺らしながら、たどり着いた教室を覗き込む。


(あ、いた)


彼女が探していた人物はクラスの友達に囲まれていた。


「これからゲーセン行こうぜゲーセン!」

「おう!なぁ、スコールも行くよな!」


2人の子犬を思わせるような目に逆らえず、彼は了承していた。
一緒に帰りたいな、なんて思っていたけれど、やっぱり男は男と遊ぶものだよね、と思うしかない自分がちょっと悲しい。
すると、いきなり誘った2人の男の子は教室を飛び出して行った。


「ティナも誘おうぜ!」

「そうだな、ティナゲーセン行きたがってたしな!」


まるで競争のように走り去る2人を呆然と見送りつつも、チャンス!とばかりにスコールに近寄った。
すると、スコールはこちらに気づき、素っ気なく頬杖をついた。


「スコール、一緒に帰ろ」

「あいつらに付き合わなきゃならない」


そしてまた、スコールはオレンジに染まった空を見て溜め息をついた。
ふと、考えがよぎる。実行せずにはいられないのがリノアである。
スコールの腕に手を絡め、にこりと笑うと、スコールは首を傾げていた。


「よし、帰っちゃおっか!」

「は?いやまて…あいつらになにか言わなきゃ…」

「行くぞスコール!」


スコールの答えを聞きもせず引っ張って走る。
勢いで校門まで来てしまった。するとちょうどバスが到着しそれに乗り込んだ。
全て勢いだったため行き先をみていなかったが。
ふと、スコールが、手を離せ、と心底迷惑そうに溜め息をついた。


「あはは〜ごめんごめん」

「おい、これどこ行くんだ」


ふと、行き先を確認すると、ビサイド、と表示されている。
2人の家の方向とは真逆だ。
再びスコールが溜め息。これは笑うしかなかった。


「と、とりあえずビサイドで降りようか、ユウナん家も近いし」

「そうしてくれ」









1時間後ーーーー



ザザ…と波が静かに優しく揺れて、空には満点の星が輝いている。
ユウナの家についたのはいいものの、女の話は長くなるのが鉄則なわけで。
時間がどっぷりと流れた。



(帰りたい………)



1人カニに癒してもらっているとようやくリノアが来た。
もうスコールには帰りたいの四文字しか浮かんで来なくて、ありのままの気持ちを伝える。


「帰らせろ!」

「だってバスあと10分だし大丈夫大丈夫!」

(誰のせいだ……)


いつまでものんきなリノアにとうとう堪忍袋の尾が切れ、怒ろうとした、その時。



ヒュー、パァン!


空に沢山の花が咲いた。
思わず気を取られ、花火を見入る、いつの間にか怒りは消えていて。
リノアを見るときらきらと目を輝かせている彼女に見とれてしまっていた。
はっ、と我に帰り空を再び見上げる。
どうしてだろう、頬が熱い。
すると、リノアが肩を寄せ、寄りかかってきた。
ふわっとリノアの日溜まりのような香りがして、どきどきと胸が高鳴る。




「スコールと花火みれて嬉しいよん」


リノアが笑った。
今までなんとも思ってなかったのに謎の動悸が止まらない。


「……リノア」


ふと、自分の手がリノアを撫でようと空中にあることにはっと気がつく。
急いで手を引っ込めて普段と変わらないように歩き出す。



「バスが来る」

「うん!また花火見に来ようね!」


自分の行動を改め、とても胸が熱くなるのを感じた。


(どうして俺…)


まさか、と気がついたその感情をそんなことはない、と心の奥に閉じ込める。


(スコールとずっと一緒にいれた)


そんな少年と同じようにリノアの心も、熱く高鳴っていた。
前から感じていたこの感情、今なら言える。



((好き、なのかも))



きっとこれが恋のはじまり。
小さく羽ばたくときをまっている。




「ティナ!ほらモーグリ人形とったぜ!」

「わぁ…!ふかふか…」

「こんなとこにチョコボ人形が!」






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スコ(→)(←)リノ



eyes on me日本語バージョンの夏のアルバムという歌をモチーフにスコリノ。


夏のアルバムがあまりにもスコ(→)(←)リノな感じに聞こえたのでやっちゃいましt

花火はルカの花火祭りという言い訳←




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