国が心刀を使ってまで勝ちたい相手はバレンチアだ。
奴らは元々戦闘民族だから心刀というドーピングをしなくても強いのだ。
町民の一部は戦闘の訓練をしているのにバレンチアには敵わない。
心刀を持ってやっと同レベルの戦いができる。


ーーーー
今巷では「19歳の騎士が自分の誕生日に心刀を選ぶらしいよ!」
という噂がたっていて、もしそれがが本当なら、心刀になるのだけは嫌なアシェルはその心刀に選ばれないように祈るだけしかできない。
確率は15万分の1。

「アシェル!」
アシェルの唯一の修行仲間、美しい青い髪の少女、カレンに呼ばれた。
「呼んだ?」
アシェルが返事をすると、カレンはボソッと耳元で
「噂は本当らしいよ。」
と、緊迫した様子で囁く。
アシェルは余裕の顔で
「大丈夫だろー」
と、苦笑いした。
するとカレンがあきれたように
「心刀になる人の強さも受け継ぐみたい。つまり、強い人が心刀になればなるほど使い手は強くなる!
私たちは少しまずいわよね。あの騎士、期待の新人みたいだし。」
アシェルはハッとした。

…確率があがった。
カレンとアシェルは強い。騎士にはあげられていないが…、心刀にならなくていいのは騎士だけ。

いっそ修行なんかさぼればよかった…とも思うが、
アシェルには強くなってよかったことはあった。
今から5年前のバレンチアとの大きな戦争でカレンと生き残れたこと、
この国は弱肉強食。
弱ければ、戦争で死ぬ。
強ければ、騎士になる。
それまでの途上の期間が一番怖い。
今のアシェルやカレンみたいな時期だ。

「まあ大丈夫だろ!」
アシェルはカレンに笑いかけるが、心は全く笑っちゃいなかった。


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あきゅろす。
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