ランスの世界
大事な話がる。と言われて全員が謁見の間に集められた。やはりセイカの姿はない。
(フレイル。)
『そうだね。王が死んだ。』
ここに来て数ヶ月しか経っていないアシェルでもこのただならぬ雰囲気に異変を感じ取っていた。食事の時はあんなにうるさい騎士団がだれも話さない。
そこに静かにランスが現れ王の椅子に腰を下ろした。
「みんな、集まってもらったのにはわけがある。もうわかっているとは思うが昨日王が死んだ。」
ランスは驚くほどに静かで冷静に話していた。ランスの言葉に誰も何も言わない。アシェルは辺りを見回すと、一番落ち着きがないのはヒロである。

「そこでだ。本日から俺がこの国の王となった。
前に言ったとおり次の休日に着任の儀を行おうと思う。
そしてそれに伴って、今まで欠けていた騎士団を組み直した。」
ランスは足を組んで淡々と話す。この空気が異常なのはみんな分かっているはずだが、騎士は誰も顔色を変えない。
ランスが椅子の肘掛けをコンコンとたたくと、後ろから従者が走ってきて紙を差し出した。ランスはその紙を広げると、椅子から立ち上がった。
「一番のセイカを外して、一番はアルヴァ。二番はエージェント。三番はウェルテス。四番はイクサ。五番はハンク。六番はナギサ。七番はクレスタ。八番はカレン。九番はキセキ。十番は寛人。」
「ヒロ?!」
とっさにシエルが声をあげた。
「何人もの騎士が犠牲になったから、十人でいこうと思う。寛人が騎士に入ることになったんだよ。黙っていてごめんね。」
とシエルに向かって微笑む。久々にランスのやさしい表情に戻った。
ヒロには前から伝えてあったのだろう。ヒロは冷や汗をかいているが、驚いてはいない。

「みんな分かっているとは思うが、今日からすべてが変わる。今日からカストレをかえていくんだ。カストレの間違った未来を変える。能力とかいらない。あるべき世界とあるべき未来をつくろう。」

その瞬間黙っていた騎士たちが歓声をあげた。
(あるべき世界とあるべき未来を)



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