神の代理人

「はっ?」
月の力…


「月の力は、何でも生み出す太陽とは違って、全てを元に戻す力なんだ。」
ヴァンクールは少し複雑そうに説明する。

「太陽の力の発動と同時に月の力を使えば、太陽の力を防げるでしょ?
セイカも困っちゃうわけだ!」
またエージェントはニタニタと笑った。


「お前、騎士だろう?」
アシェルは額に汗を浮かべながら、エージェントを見つめる。

「セイカに太陽をとられるのはみんな嫌だよー
セイカ何するかわからないし…」
エージェントは縁側に向かって腕を伸ばした。


そして2人の方を振り替える。
「僕はね。それを阻止する方法2個のうち、どちらをとるか迷ってんだよ。」いつものバカにしたような口調ではなく、どこか真剣な眼差し。


そして目の前に人差し指を出した。
「一つはヴァンクールを今のうちに殺すこと、こっちは僕以外の騎士がやろうとしてる。


そしてもうひとつは、セイカを殺す。この考えは僕だけ。」


ヴァンクールは一歩前に出た。
「簡単なのは俺を殺すほうだろ?」


エージェントはその様子を黙って見てから、
「僕は反抗期だからね、
逆らいたいんだー。」


そして腕を組んでまたニタニタ笑う
「僕は神の代理人なんだ、どの未来も単調で面白くないんだよ。」


アシェルは少しエージェントの神経を疑ったが
「運命を変えることはとても難しいんだ。」
そう言ってころりと表情を変えて、暗い声で呟くエージェントを見て、なぜか複雑な気持ちになる。



アシェルは頬にある刺青を絆創膏の上からなでた。
(こいつは何をしたいんだ?)


エージェントはくるりと庭の方を向いて歩き出す。
2人に背を向けたまま、
「あんまり僕を信用しないでね。僕は騎士で一番気まぐれだから…」



庭に出てもう一度振りかえる。
「どうか、我に静かなる安息を与えたまえ…」

そう言ってニッコリ笑って手を振ったと思うと、騎士お得意の空間にヒビをいれて消えてしまった。



アシェルもヴァンクールもひどく混乱していた。
月の力。太陽の力。
あと2つある、4大能力…

「いきなりそんなこと言われたってわかんないっての!」
アシェルは思い切り机を叩いていた。


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