力の転生
「俺はここの息子だ。」
ヴァンクールは涙を脱ぐって話始めた。
「ここで一つわかったのは、俺が太陽の力をもっているんじゃなくて、俺が太陽の力の…」
ヴァンクールは顔をしかめた。
どう言えばいいのかわからないようすである。
「僕なら全部教えてあげられるよー」
少し高い声。
「誰だ!?」
アシェルが後ろを向くと。黒い髪の少年がニコニコしていた。
しかしどこか人を騙すような…そんな笑み。
「お前は…。」
ヴァンクールが目を見開いた。
「なんで騎士が…」
…!
「騎士だと…」
アシェルがびっくりして心刀を抜く。
「こんな狭いとこでどうやって戦うのさ?」
「アシェル…。こいつはエージェント。2番だ、」
ヴァンクールが慎重にいいはなった。
「こんな子供が?」
そう、目の前の少年はランナと同じくらいの少年なのだ。
「失礼だね。
まあ、君らを殺しに来たわけじゃないよ。
ヴァンクール。君の記憶が戻るのを待ってた。」
どこか生意気な口調で淡々と話す。
「実はね、太陽の力を含む4大能力は力の転生が永遠におこるんだ。」
アシェルの頭にハテナが大量に浮かぶ。
「普通の力って、生まれた時に身についていて、死んだら心刀にうけつがれる。っていう2回なんだよ。例えばシャインは生まれた時から風の力を持っていた。シエルの心刀になって、力はシエルに受け継がれた。
そしてもしシエルが誰かと契約していて死んでも、風の力はシエルの主には受け継がれないだろ?
風の力は2回使われて終わりなんだよ。」
ヴァンクールが丁寧に教えてくれた。
アシェルはうなずいてから
「なら太陽の力はヴァンクールの前から誰かが使ってたってことか?」
ヴァンクールはうなずいた。
「一度消えた力は、転生するのは時間がかかるけど、4大能力は常にどこかに存在してるんだ。つまり、太陽の使い手、心刀、誰かに転生、使い手、心刀…ってこと。」
「その、前の太陽の力を持った心刀を使っていたのがセイカだよ。」
エージェントが腕を組んで呟いた。
「おい!ちょっと待てよ!持ち主が死んだら心刀は消滅すんだろ!?セイカは生きてるじゃねえか!」
頭の中がこんがりながら、アシェルは焦っていた。
「セイカは目的を果たそうとしたときに心刀を折られたんだ。その時折ったのがヴァンクールの父。バレンチア。そして近くにいたヴァンクールを選んだんだ。」
エージェントは髪をいじくりながらヴァンクールを見た。
「そのあと、太陽の力が暴走して家族を殺したんだよね。」
厳密にはヴァンクールが手をくだしたということ。
この家でそんなことがあったなんて。
その言葉にヴァンクールは目を細める。
「セイカはその時は勝てないと思って逃げちゃったんだよ。」
エージェントはけたけたと笑った。
「アシェル。もしセイカがまた太陽の力を得てしまったら、君が止めなよ?」
エージェントがアシェルの頭にポンと手をおいた。
「はっ?」
アシェルは意味がわからず聞き返すと。
「やっぱり…」
ヴァンクールがそう言って下をむいているのが目に入った。
「君が太陽の力の対の力。月の力の持ち主だからだよ。」
アシェルはすぐにその言葉を理解できなかった。
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