人を助ける力

はぁはぁ
広い居住区を2人は疾走する。

(ランナ…
どうか無事で…)



ヴァンクールが急に止まった。
「ここ…?」
ヒロが見ていた。

表札には"医務室"
ヴァンクールはゆっくり扉をあけた。


「うぅっ!」
ヒロが鼻をふさいだ。

いろいろな薬品の臭いと…血の臭い。


「嫌だ…」
ヴァンクールが首をふって後ずさりした。
さっきの女性の死体を思い出す。
(もし生きてなかったら…)

ブンブンッと
ヴァンクールは首をふった。
「逃げちゃだめだ。」
額からは大量の汗が流れた。


ヒロが心配そうにヴァンクールをのぞきこむ。


ヴァンクールは静かに部屋の奥へ進んだ。




「…!!」
血が飛び散っている。
辺りを見回す…

ソファに目を向けたとき顔が青ざめた。
「ランナ…」


ソファの上に力なく横たわる緑の髪の少年が倒れていた。

そばには愛猫ムーが座っていた。

ヴァンクールは静かに右手をランナの頬にのせた。

!!
かすかに頬が暖かい
「生きてる!」

すると
薬だなをあさりながら
「だめだ!全部割れてる。」
ヒロが首を左右にふった。

「今ここで治療しなくちゃ、ランナは助からない!!」


ランナの腹からは血が流れところどころに傷がある。

ヴァンクールは瀕死のランナの顔をのぞきこんだ。

(この命…守りたい。)
その時ヴァンクールの体を炎が包んだ。



『ヴァン!使うの!?』
マリが隣で叫んだ。

ヒロは目を手でおおって炎を見ていた。
(これが太陽…
暖かくて、優しい光)




ランナの顔に正気が戻っていく。

(寿命が吸いとられてく。)ヴァンクールから何か暖かい物が体の中から去って行った。


『ヴァン。』
マリが炎につつまれたヴァンクールを心配そうに見つめた。

(いいんだ。
今使わなきゃいつ使うんだよ。)


ヴァンクールが太陽の力を使ったことでランナは一命をとりとめたが副作用としてヴァンクールの命は欠けてしまった。



その時、ヴァンクールの視界は真っ暗になった。





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あきゅろす。
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