晴輝


ヴァンクールは静かに南館を走っていた。
南館をぬけると中庭。

中庭の真ん中に晴輝は立っていた。

『ヴァン!』
マリが必死にヴァンクールを止めようとしている。
(俺からはなにもしないさ。でも、こいつが俺を殺そうとするなら。俺は…)
ヴァンクールは下をむいた。
邪魔する者は斬りつけないといけない…
今まで散々狙われてきて、学んだこと。

『晴輝…やめてよ』
聞こえる訳がない。
すると晴輝がそれに答えるように
「マリが望んで心刀になったとは思えないよ。
マリ…助けるから。」
その時晴輝は走って、
パリンッ
中庭に面している図書室の窓を割った。

ヴァンクールは冷たい目でその様子をじっと見ていた。


その後晴輝が割れた窓ガラスの破片を持って突っ込んできた。
ヴァンクールは何度も切りつけてくるガラス片をバック転でよける。



ヴァンクールは相手が戦闘モードなのを確認して、
制服のセーターのなかから小さな布を取り出した。

晴輝はそれをじっと見ている。

ただの布ではなく、なかには小さなバタフライナイフが入っていた。

それを一瞬で開く。
『ヴァン…』
(大丈夫。マリで傷つけないし、晴輝は殺さない。)


その余裕の顔を見て、晴輝はイライラしていた。


晴輝は両手を上げた。




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